本日から7日間にわたって、話題の新刊『酒鬼薔薇聖斗と関東連合』(サイゾー刊 Amazonリンク)の中からから1章ずつ、読みどころを紹介していきます。ラストには質問コーナーの告知もあるので、最後までお見逃しなく!
誰のための、何のための矯正か
本書は、作家で実業家の柴田大輔氏(ペンネーム 工藤明男)が、2015年6月に太田出版より発売された『絶歌』に衝撃を受け、書き下ろされた一冊である。それは同じ時代、同じように少年院にいた柴田氏による唯一無二の酒鬼薔薇聖斗論であると同時に、自分自身を振り返ることで"関東連合論"としても読むことのできる、貴重な一冊となっている。
そして本日、ご紹介する第二章「僕の少年院時代──異様な生活様式と拷問的罰則」では、"少年院"という矯正施設がその名に反して、いかに少年たちの心を腐らせ、蝕み、壊していくかが、冷静な筆致で綴られていく。酒鬼薔薇聖斗、柴田大輔、そして見立真一を理解するためには必読のテキストだと言えるだろう。
僕は幼少期から過剰な躾しつけをされ、異常とも言える潔癖性の母はことあるごとに、僕や父を汚物のように扱った。(50ページ)
極度にヒステリックな母、事なかれ主義の父に囲まれて育った柴田少年。そして、少年の父は、ある日、家を出てしまう。
心の支えを失った少年は家出、万引き、ケンカといった非行を繰り返す。
そんな少年を待っていたのは、少年院の地獄のような日々だった。
酒鬼薔薇聖斗が収容されていた関東医療少年院(wikipedeia)
布団の畳み方は教官が長い直角の定規で測った時に、地面に対して垂直になっているかを確認され、食事の際の挨拶から配膳の受け方から食べ方まで、全てにおいて行動様式がヒステリックなほど神経質に決められていた。(76ページ)
そしてここからが最もおぞましく異様だったのだが、収容者同士でそれらの禁止事項をお互いに監視させるということをやっていた。それがチクリ合い、つまり収容者同士による相互監視である。これは第二次世界大戦時にホロコーストなどの強制収容所でも実際に行われていたことで、人間とは人種も民族も超え、歴史的な過ちを繰り返すものなのだとつくづく考えさせられた。(77ページ)
少年院の中で中学3年をむかえた少年は、ただ「中学の卒業式までに地元に戻る」ことだけを考え、日々を過ごすようになった。だが、それは自分の心を殺すことにほかならなかった。
僕は能面のように表情を消して、ロボットのように感情を押し殺して行動様式を完璧にこなした。(83ページ)
僕は少年院の中で我慢することをある意味、覚えた。「ある意味」というのは次のようなことだ。本来、我慢というのは自分の間違った欲求や、少なくともその場でそうするべきではない願望を抑制することを意味する。しかし、少年院の中で強いられる我慢というのは、理屈や常識が度外視され、思考を停止するぐらいでなければ感情を抑制することはできない。僕は思考と感情を乖離させることで怒りを抑制することを覚えたが、自分の思考と感情を無理矢理乖離させたことにより、僕の中である衝動が芽生えた。それは殺意にも似た暴力的衝動である。(中略)
僕は彼ら(教官や他の院生)のことを妄想の中で、何百回と殴り殺した。(93ページ)
この暴力衝動が、のちの関東連合の原動力になっていくのだから、皮肉な話である。もしかしたら凶悪犯罪集団・関東連合の生みの母は、少年院などの矯正施設なのかもしれない......。
『酒鬼薔薇聖斗と関東連合』ただいま絶賛発売中!!!
ベストセラー『いびつな絆』の著者が、少年院でのトラウマや関東連合での活動を重ねながら、『絶歌』に潜む暴力性や死生観を解読。
そして、元少年Aとの対話が始まったが......。
「酒鬼薔薇聖斗」は関東連合元リーダーで国際指名手配犯・見立真一と同じく性的サディストか? あるいはサイコパスか?
高度情報化社会の闇を切り取る現代人必読の一冊、いよいよ刊行!
柴田大輔
これまで「工藤明男」のペンネームで活動してきたが、本作で初めて本名・柴田大輔を明かす。東京都杉並区出身の関東連合元リーダーで、ITや芸能の分野で活動後、複数の企業の筆頭株主として投資と企業コンサルタントを主な仕事としてきた。警察当局からは関東連合の最大の資金源と目されてきた人物。処女作『いびつな絆 関東連合の真実』(宝島社)刊行と同時に、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴対法)における保護措置により保護対象者に。同書は17万部のベストセラーとなる。2014年には『いびつな絆』の"少年編"と銘打った2作目『破戒の連鎖 いびつな絆が生まれた時代』(宝島社)を刊行。現在は執筆活動を中心にしながらアプリゲーム『Black Flower』『大激闘! 不良の花道』(TOR株式会社)などを開発・運営している。