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銃器捜査で名を馳せた北海道警の敏腕警部、覚せい剤使用の服役を経て、そして現在は

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公判で警察の不正を証言


──ご自身の公判で、起訴事実を認めたうえで、首なし拳銃の摘発や不正なおとり捜査についても証言されて波紋を呼びました。この時に名前の出たロシア人船員のアンドレイ・ナバショーラフさん(1997年に逮捕)は、「自分は違法なおとり捜査により不当に逮捕された」として2014年に再審を請求しました。

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稲葉 はい。当時は「首なし拳銃」がほとんどでしたが、幹部が「首なしはもういい。どうしても身柄を拘束したい」と言うのでアンドレイさんを逮捕しただけです。誰でもよかったんですが、彼はそのせいで服役し、今も日本には入国できません。申し訳ないと思っています。

──その背景には、「平成の刀狩り」がありましたね。92年に金丸信自民党元副総裁(当時)が選挙応援の演説中に銃撃を受けた事件をきっかけに、日本国内での銃器対策が強化されていきました。

稲葉 銃なんか、そんなに簡単に出てくるわけがないんですが、警察庁の号令だったので、ノルマが厳しかったのです。他県警でもムリをして摘発して問題になったところがありますね。

 最初は上司から「首なしでいいから摘発しろ」と言われ、エスに用意させた拳銃を駅のコインロッカーに入れ、匿名で通報するというような形でやっていたのですが、そのうち「匿名じゃだめだ。逮捕者を出せ」と要求がエスカレートしていったんですね。そんなことのために逮捕したアンドレイさんには申し訳ないことをしたと思っていますから、協力は惜しまないつもりです。


「泳がせ捜査」という名の犯罪


──国内に大量の薬物を流入させた「泳がせ捜査」も問題にされています。00年4月頃、道警の銃器対策課と函館税関が拳銃摘発を目的とした「泳がせ捜査」に失敗し、香港から石狩湾新港に密輸された覚醒剤130kgと大麻2tを押収できなかった疑いがあると北海道新聞が報じました。末端価格にして100億円だそうですね。

稲葉 あれは「捜査」ではなく、道警と税関による「犯罪」です。香港の組織の拳銃を摘発するために道警と函館税関が薬物の密輸を容認したのです。

 そして、この件を報道した北海道新聞は、のちに「誤報」としました。これも道警側の圧力でしょうね。道新と道警の幹部の裏交渉で、「なかったこと」にされてしまったのです。でも、誤報のわけがない。当事者が言ってるんだから、間違いないですよ(笑)。これらの薬物は、仲介したヤクザによって国内に蔓延したはずです。

──この時、道警と税関はロシアの貨物船から拳銃20丁を摘発したことになっています。道警史上最大の件数とされました。

稲葉 これも、まったくのでっち上げ。拳銃は私が用意して、エスにロシア船に仕込ませたのです。当時は「拳銃摘発のためなら何でもアリ」という狂った状態でした。僕もそれに踊らされていたんですね。


刑事として必死に仕事をした結果


──逮捕時には、虚実を含めてバッシング的な報道がなされた一方で、「違法捜査は独りでできるものではない。組織的な問題だ」ということで、「同情票」も多かったようです。

稲葉 たしかに報道はひどかったようです。もう丸裸にされましたね。でも、それだけのことをやったのだから、甘んじて受けなくてはならないと思ってきました。

 私のことを「組織の犠牲者だ」とする論調は確かにありました。お気持ちはありがたいのですが、私は犠牲者ではありません。自ら罪を犯して服役したのです。だから、北海道警にも組織としての罪を認めてもらいたいのです。

 私にとっては、26年に及ぶ警察での生活は人生そのものでした。違法な捜査もしましたけど、私は私なりにがんばってきたつもりです。道警時代も、敵はいたけど、頼ってくれる人間も多かったですね。