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西宮が産んだ正統派女優

ドラマ「ムショぼけ」もう1人のヒロイン ー西宮が産んだ正統派女優ー

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甲子園球場がある兵庫県西宮市。過去には長らく甲子園は大阪だと誤解されたりしていたが、今ではその誤解も解け、甲子園は兵庫県西宮市にあると理解されている。

そんな西宮が産んだスーパースターといえば、シンガーソングライターのあいみょんだろう。

彼女は確かに西宮出身の有名人として、頂点に君臨している。

だがそのあいみょんのバリューにも、いずれ劣らなくなるだろうダイヤの原石が存在しているのだ。

少なくとも、朝日放送で現在、放送されているドラマ「ムショぼけ」関係者は、西宮といえばもう1人のヒロイン【鳴海唯】と信じて疑わないのである。彼女はそれほどの逸材だった。

ドラマ「ムショぼけ」のキャストオーディションは、東京と大阪で行われた。特に東京で行われた主人公、陣内宗介の娘ナツキと息子カイトのオーディションは、各プロダクションの応募者だけで千人を軽く数えた。

私も書類選考には目を通し、気になった俳優は、全てオーディションを受けてもらうために、書類審査を通してもらった。

そうして書類審査を通過してきたナツキオーディションは約300人。

はっきり言ってしまえば、もうその数になると書類審査は運も大いに左右する。それでも通過してきた人たちは、誰かの目に止まっているのである。それだけでも凄いことだ。そして私には本当に有難いことでもあった。

私は大阪オーディションには、審査員として参加しているが、ナツキ、カイトオーディションには参加していない。

それはさまざま理由があるのだが、一番の理由をあげるとすれば、それだけ想いが強い役柄だったので、現場でお芝居を観てみたいと思ったからだった。

激戦の中にあって、特に激戦となったのがナツキオーディションだった。だったはずなのに、オーディションが終了し、私の携帯がプロデューサーの角田氏から鳴らされると、興奮した声でこんなことを告げられたのだ。

「監督3人!満場一致で鳴海唯さんに決定しました!」

それが私が、鳴海唯さんを初めて知った瞬間だった。人の芝居の好みはさまざまだ。だが、3人が3人同じ結果で彼女を選んだのである。

よほど芝居が強い女優さんなのか、と思いながら、改めて角田氏に鳴海さんのプロフィールを送ってもらったのだった。

そして、彼女のクランクイン。場所は阪神尼崎駅。14年ぶりに父である主人公の陣内宗介と再会を果たす、物語の中でも大切なシーンである。

私が原作の中でも拘ったシーンの一つである。

彼女のお芝居を観ながら、私はこう感じていたのだった。

ーもし仮にオレが審査員として東京オーディションに参加していても、結果は同じだっただろう...ー

と。それほど彼女のお芝居は圧巻だったのだ。

彼女は、後部座席に座り、全く物怖じせずに、大学を辞めてまで、どうして女優を目指したのか。

そして、なぜナツキオーディションにプロダクションから応募したのかを熱心に語ってくれた。

その時、私の存在を彼女は原作者として理解していない。なぜならば、私が挨拶をしていないからだ。挨拶をしなければ、送迎車を運転しているのである。送迎係と思うだろう。

基本的に私はどの現場でも、自分からは挨拶しない。これまで自分から挨拶したのは、舘ひろしさんと武田玲奈さんだけである。

武田玲奈さんは、インの日に弁当を食べようとすると、隣の空いてる席にたまたま武田さんが座り、お弁当を取られたのだ。見渡すと武田玲奈さんと私しかいなかった。

これはどう見ても、私から挨拶せねばすげえ気まずいと思い、お弁当を食べ始めようとした武田さんに挨拶させて頂いたのだ。

舘ひろしさんは、映画「ヤクザと家族The Family」の現場で、圧倒的な存在感に気づくと勝手に身体が挨拶していたのであった。

挨拶をなぜ自分からしないのか。しないと言うよりも出来ないのか。単純にひどい人見知りだからだ。何も格好をつけているわけではない。初めての人と話すが苦手なのである。

鳴海唯さんは、送迎係のドライバーの私に、すごく気を使って色々な話をしてくれていた。

特に印象的だったのが、「映画のヤクザと家族がすごい大好きなんです!!!」といった言葉だった。

私たちムショぼけチームは、藤井道人監督の映画「ヤクザと家族 The Family」で出会い、派生してきたチームだった。

その言葉を言われると当然、弱いのである。

当たり前ではないか。映画「ヤクザと家族 The Family」がなければ、ドラマ「ムショぼけ」は誕生していない。

ある意味、映画「ヤクザと家族 The Family」なくして、小説もドラマも「ムショぼけ」という作品は語れないのである。

鳴海さんの偉いところは、その後、現場の中で私が監修で原作者と分かっても、一切態度が変わらなかったところだ。

それだけ日頃から、スタッフの人たちに接する態度がすこぶる良かったのだ。

そしてすこぶるお芝居がうまいのである。

大ベテランの大御所、木下ほうかさんのラジオ番組に私がゲスト出演した際、あの木下ほうかさんですら、彼女のお芝居について、「よく見つけてきたな〜」と絶賛されていたほどだった。

彼女の人柄は最後の最後まで変わらなかった。

普通、役者の人たちは自分の出番が終わると、現場でクランクアップを済ませて、東京へと帰っていくのだが、彼女だけは、ドラマのオールアップに参加するためだけに、最終日にやってきたのだった。

私は思った。そりゃ、売れるよ...と。

ドラマは7話からドライブがかかり、8話から急激にスピードをあげる。

彼女、鳴海唯さんのお芝居に是非、注目してみて欲しい。

きっと「ムショぼけ」監督チームと同じ意見になるはずである。

(文・沖田臥竜)