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民間刑務所⑧

実録シリーズ!⑧ムショの中の楽園⁈【民間刑務所の実態】

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民間刑務所⑧


 デジタルコンテンツという職業訓練にも参加したことがある。期間としては3カ月。
人数は30名。ユニットは医療事務の職業訓練生の30名と一緒だった。

訓練内容としては「Premiere」というソフトを使っての映像編集のやり方を教えてもらうのだがこれも特に資格取得はなかった。
 ほとんどが自分の工場の作業が怠いからと遊びの気持ちで参加している者が多かったが、オレは面白かったし興味もあったので充実した3カ月だったように思う。
 素材を増やす手段としてフォトショップの使い方も教えてもらった。刑務所の中だったので素材も限られていたが、勉強することは多かった。
 課題はしょうもなかったけど。笑
 例えば、消しゴムの写真を撮ってそれをフォトショップで切り抜いて、消しゴムのCMを作る!みたいな感じ。
 講師は民間の講師だったのだが、あんまり教えるのがうまくなかった。ほとんど聞いたことに答えられないし、ほとんど訓練ほったらかしでイヤホンしてパソコン見ながらニヤニヤしていたからYouTubeでも見ていたのかも知れない。

 ここでも面白い奴と一緒だった。
 大阪出身の23歳で京都大学に行ってて京セラに内定決まってて捕まったらしい。京大だけあって頭はめっちゃ良かった。名前は京大でいいか。
 窃盗罪で捕まったらしく、内容は笑えた。
 初めに逮捕されたのは大学から一人暮らしの部屋に帰る途中に、京大は自転車で車に轢かれたらしい。その際にラッキーと思って警察に通報したのだが、その自転車が盗難車だったらしく、2年くらい乗っていたためすっかり忘れていたためそのまま御用。結果は執行猶予。
 次の逮捕は、執行猶予中に当時流行っていた「進撃の巨人」の本が高く売れていたことに目をつけた。1巻から10巻などをまとめて古本屋に持っていくと5,000円とかで買い取ってくれたらしく、それを何回も繰り返していたとのこと。執行猶予中の犯行だったためにそのまま島根に来ることになったらしい。
 こう聞くと頭悪そうに思うかも知れないが、デジタルコンテンツで行われた毎週火曜日のテストでは唯一満点を取り続けた男だった。ちなみにオレは2回満点を取れなかったが全体としては京大に続いて2位だった。
 京都大学に進んだ理由としては、裁判官になりたかったとのこと。そう、なんと法学部だったみたい。
 在学中に生涯年収を考えた結果、民間企業に方向転換したらしいが結果として京大の未来は、裁判官でも大企業でもない運命だったのだろう。
 出所は京大の方がオレより早い予定だったし、出所後は大阪で生活するということだったので
「廣島君、先に待ってるので出たらフェイスブックで探して連絡くださいよ。」
と言われていたが、別に会う理由も会いたいとも思ってなかったので
「出てから勝手にフェイスブックにメッセージ入れといて。見つけたら連絡するわ。」
と返事していた。
 もちろん、連絡なんてきてなかったが。オレも探してもない。むしろ名前も覚えてないかな。
「絶対連絡しますね!絶対ですよ!」
とか言ってくる奴に限って連絡はない。刑務所あるあるかも。
 その時は本気でそう思っているのかも知れないが、それぞれ出所後に何があるかわからんし環境もそれぞれだから仕方ないとわかっている。
 オレは誰とも連絡するとは約束しなかった。何人かは出所後の今でも連絡とっているが、オレから連絡した人間は1人もいない。向こうから連絡がきたか、街で偶然再会した人間だけである。
 それでも頻繁に会ったり連絡とったりしている訳ではない。

 話は変わるが、このデジタルコンテンツの職業訓練の頃に奈良の少年刑務所が閉鎖になるということで20代前半の子らが大量に移送されてきた。
 若いだけあってめっちゃ元気のある子らがいっぱいきて、奈良の話とか聞いたりしてて面白かった。
 奈良は相当厳しかったらしく、島根はやはり天国だったらしい。


(文・廣島部長)