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民間刑務所!?

実録ムショ!シリーズ!所内で嵌め込まれるGPS⁈【民間刑務所の実態】①

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2014年、ある薬物事件で逮捕された。
刑務所に行くと思ってたオレは収監先を告知されたとき、「まじで?民間?オレが?」みたいにポカンとしたまま黒い手錠をしてバスに乗った。
拘置所では話題に民間刑務所は上がっていた。
ただ実態を知っている者はいなかった。
収監される前に、靴のサイズ聞かれたら民間確定らしいぞ!という都市伝説まであった。

分類面接というどこの刑務所が適当かみたいな面接が刑が確定するまでに全員受けるのだが、その分類面接の時も「オレ、民間行きたい!無理ならここ(拘置所)で務めたいわ!」と元気いっぱい答えたのを今でも覚えている。
しかし、面接官から帰ってきた答えは「無理無理!あんなん全然行かれへんで!」と一蹴された、、、。
だから普通の初犯刑務所に行くものだと思っていた。

広いバスには拘置所の職員が2人。他には同じ施設に収監されるもう一人の受刑者が乗っていた。バスの中では無言、、、な訳がなく民間?オレが行けるん??よっしゃ楽勝の生活やん!ってテンションが上がってしまって、護送中、職員とずっと笑いながら話して向かったのだ。 
今から6年前の2015年8月のことだった。

島根県にある「島根あさひ社会復帰促進センター」に収監され、5年6か月から未決(裁判でかかった期間)210日を引いた刑期が始まった。
普通の刑務所との違いをよく人に聞かれるのだが、オレ自身が普通の刑務所で生活したことがなく、テレビとか本とかの知識しかないが、まず驚かれるのがタグと呼ばれるGPSを名札に埋め込まれており、管理されている。
何を驚くのかと言えば、工場から出るとき、例えば面会・面接・職業訓練・その他諸々あるのだが、その移動が職員同行ではなく一人で移動できるのだ。
そしてセンター独特の呼び方で「ユニット」と呼ばれる舎房では冷暖房完備・完全独居(一人部屋)・洋式トイレ・全部屋ベッド・テレビ完備、部屋の施錠は21時、挙句の果てには拘置所では21時だった消灯時間が22時。ホールには本棚がありそこの本は自由に部屋に持って帰って読むことができたし、その本棚も3か月くらいに一回全部入れ替えなので、読む本がないということもなかった。

そして本棚にない本でもホールにある、ATMみたいな機械で取り寄せることもできる。
夕食が終わると刑務官とほとんど会うことはなく、民間の警備会社であるALSOKが見回りにくるが、一言も言葉を発しないしこちらから話しかけることもないので、誰も気にもしていなかった。

島根あさひ社会復帰促進センター事態の外観は、ホテルそのもので刑務所の象徴である塀もないので、たまたま通りかかった人は刑務所とは思わないと思う。
そしてもちろん独居も、ちょっと狭いホテルそのものであった。

飯は美味いと聞いていたが、、、不味かった。
そして少ない。どれくらい少ないかというと、最初の一年で15キロ体重が減った。仮釈放時には25キロも減っていた。
勘違いのないように補足すると、独居といっても誰とも話せない訳ではない。はっきりした時間は覚えていないが、17時過ぎに夕食が終わり20時くらいまでは、ユニット内のひらけたホールでずっと雑談できるのだ。
ホールにはパソコンも置いてあって、練習するものもいた。

ユニットの収容数は最大60名だったので、多い時で40人近くはホールで話していたように思う。
センター全体で考えるとユニットが、15個所くらいあった。
エリートばっかりだから、事故がないとかケンカなんかないとイメージを持たれがちではあるが、普通に懲罰もあればケンカもあるし、もちろんイジメだってある。
ホールに毎日出てこない人間はイジメられているか、人づきあいが下手かが、大半であったように思う。

こう書いてみたらまさに天国そのものだったのかもしれない。
刑務所暮らしのイメージとは、随分かけ離れている。
しかし収容されている人間はそうは思っていない。好きな時に好きな仲間とも会えない。やりたい仕事なんてもちろんできない。共同生活なので、人間関係を作るのも大変なこともある。

刑期の長いものは出所者を見送る度に、この時間が永遠に続くような錯覚をする者さえもいる。
そう、他の刑務所がどんなところか分からないから自分の置かれている状況が最悪に見えてしまうのだ。
中でも、外から仲間や家族の支援が無い者は、特にそうだった。

今考えたら苦痛なんてなかった。でもまた行きたいとは思わない。
仮釈放から2年と数か月過ぎたが、心からそう思う。


(文・廣島部長)