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否認

③■不可解な死に潜む闇 ー否認ー

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◯否認否認


結論から先に述べよう。このBさんの死が事件として立件されることは、まずないだろう。
単純な話しだ。それだけの証拠が残っていない。だが、万が一にでも事件として、誰かが逮捕されようものなら、事態は大きく揺れることになる。
それを危惧したのが、絶大な影響力を持つある大物であった。

AさんがBさんの死に本当に関与しているかどうかは別として、Aさんにそうした疑いがあるだけでも問題だったのだ。それほどまでに、現在のAさんの立場は、普通の立場ではなかったのだ。

少し乱暴な言い方をすれば、客観的にみても当時のAさんは男運がすこぶる悪い。それはそうだろう。亡くなったBさんにしても、血液中からは覚醒剤が検出され、風俗店の店長をやりながら、暴力団関係者らに借金があるような人物だ。
Cについてもそうだ。再捜査が開始された際、Cは覚醒剤の使用で宮崎刑務所に服役していたのである。この人間関係を見るだけでも、良くはなかったことが理解できるのではないだろうか。
だが、そこからAさんの境遇は、そんな過去がなかったかのように一転する。
ある社会的にも立派な大物と知り合い、これまでの人間関係が精算できているのだ。Aさんは、絵に描いたような玉の輿に乗ることが出来たのである。それは幸運とさえ言えるだろう。苦難を乗り越えて、幸せになることが出来たのだ。それは素晴らしいことでもある。

ただ、Bさんの死に関与していなかったらの話しなのだが、、、。


2018年夏頃から、こうした経緯で再捜査が開始されたのだが、関係者らに話しを聞くも、事件に直結するような証拠は得られなかった。
つまりCの供述「実はあの日、Aから ー夫を殺してしまったー と連絡を受けて、現場へ行った」という言葉を裏付けることが出来なかったのだ。

そこで警視庁捜査一課は、同年秋になってからAさんの実家に家宅捜査をかけている。
その際、Aさんに任意同行を求め、Aさんから供述を得るのが狙いだった。
遺体もなければ、現場も既に残されていない。証拠が何もないのである。
その状況下で、勝負に打って出たのだ。

秘密裏に進められていた捜査であったのだが、捜査一課のただならぬ動きを敏感に察知した某TV局は、何かが起こっていると勘付いた。
その詳細までは、分かっていなかったのだが、捜査一課が何か重要な事件を追っていることに、気がついたのだ。
それも雰囲気的に小さなヤマではない。
すぐに、警視庁捜査一課の動きに並行させ、Aさんの実家に家宅捜査がかけられた際、現場にTVカメラを設置させたのだ。
それが捜査一課の幹部の逆鱗に触れてしまうことになった。
そして、事態の真相も分からないままに、撤収させられることになってしまうだ。
追う側、追われる側、それを取材する側。事件の背景には、そうした攻防が必ず存在する。TVで流される映像だけを観て、簡単にメディアがどう、マスコミがどう、警察の捜査がどうと批判できるものではないのだ。

そこまでして、勝負を賭けた家宅捜査であったが、Aさんから供述を得ることは出来なかった。逆にAさんには否認されてしまい、ガードを固められてしまうことになったのであった。

その後も捜査一課は、Aさんに対して再三に渡って任意の取り調べを求めている。あくまで任意である。強制ではない。捜査一課の要求に対してAさんは、応じることもあったのだが、一貫して否認の主張を変えることはなかった。

ことの経緯をAさんから、現在のご主人である人物に、どのような説明がなされたのかはもちろん分からない。だが、事件自体は当然、ご主人も知ることになった。

一方で、警視庁から、そうした経緯の報告を受けたのが警察庁である。そのルートから、先にも触れた大物らの知ることになったのだ。
報告を受けたある大物は、Aさんのご主人に対して、仮に事件が弾けて、Aさんが逮捕された場合のダメージを考えた。立場が立場である。いくら事件に全く関係ないとはいえ、妻が殺人容疑で逮捕されれば不味い。
そのため、あらかじめ離婚しておくように強く言い含めたと言われている。しかし、現在に至るまで2人が離別した形跡はない。それも仕方ないのではないだろうか。Aさんが殺害したと話しているのならいざ知らず、そんなことを言う可能性は極めて低い。それに家族のことを考えると、簡単に離婚できる状態ではなかった。その面で言えば、誰になにを言われても、妻を信じる姿勢は立派ではないだろうか。


現在も捜査一課はAさんの立件に向けて、諦めたわけではないという。様々な背景に考慮しながらも、捜査は続いているという。
だが、結局のところ、Aさんを逮捕するには、Aさんの供述しかもう残ってはいない。そのAさんが一貫して否認しているのだ。

そこが致命的になっており、未だに未解決事件になっているのであった。

(文・沖田臥竜)