>  > ⑬■ 放火か事故か『新宿・歌舞伎町雑居ビル44人死亡火災』⑬そして迷宮へ
迷宮入り

⑬■ 放火か事故か『新宿・歌舞伎町雑居ビル44人死亡火災』⑬そして迷宮へ

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◯迷宮入り


ビル火災から15年が経った2015年。仮に放火であったとしても、放火罪に対しては時効が成立することになった。だが、警視庁が当時仮定した殺人罪については、2010年に刑事訴訟法が改正され、殺人罪の時効が撤廃されたことにより、今でも「歌舞伎町44人死亡火災」は未解決のまま、現在に至ってる。私が知る限り、2016年以降、この事件について捜査はされていない。仮に犯人がいたとしても、本人がわざわざ自供でもしない限り、もう解決されることはないだろう。

だが、確かに事件当時、捜査一課ではISを容疑者ではないかと追った時期があったのだ。
そして当時、事件を担当した多くの捜査員は、歌舞伎ビル火災ついて「あれは放火事件だった」と見ていたのは間違いない。

【概要】
『歌舞伎町ビル火災
2001年9月1日午前1時ごろ、東京都新宿区歌舞伎町一丁目の雑居ビル「明星56ビル」(地上4階、地下2階)が爆発音を轟かせて出火。
東京消防庁は、梯子車などを含む消防車と救急車を約100台出動させたのだが、沈下させるまでに5時間40分を要することとなる。逃げ遅れた44人もの人々が一酸化炭素中毒や全身火傷を負い死亡。死亡者数で言えば、1982年2月に発生したホテルニュージャパン(東京)での火災(死者33人)を上回る戦後5番目の大火災』


出火原因とは別に、そもそも「明星56ビル」は、危険な建物であった。簡単に言えば、建物の管理が消火や避難が非常に困難なほど、管理がおろさかで杜撰であったのだ。結果、それが被害を拡大させたわけとなる。犯人がいるならば、犯人にとっても、まさかの展開であっただろう。つまり、ここまでの大火災になるとは予想すらしていなかったはずだ。

腹いせであれ、怨恨であれ、ボヤ程度が目的であったのではないか。44人もの人たちの生命を奪ってまで晴らさなければならない怨みが「明星56ビル」にあったとは、どれだけ考えても考えつかない。

仮に流しによる放火だったとしたら、どうだっただろうか。可能性としては、極めて低いだろう。何故ならば、いちいち3階まで登っていく必要がなかったからだ。火をつけることが目的であったとすれば、ビルの1階で十分だったのだ。
だが火元は3階であった。それはやはり、放火であったならば、「一休」が関係していたとみるのが自然だろう。

前述した杜撰なビル管理は社会的にも大きな反響を呼び、この火災を期に消防法は改正され、ビル管理ついても厳格な運営改善に繋がっていたったのだった。

だが奪われた44人の人々の生命は、決して戻ることはない。どれだけ消防法が見直され、厳格な運営に改善されてもだ。それを考えた場合、このまま風化させてはいけないのではないだろうか。


時は全てを風化させる。喜びも憎しみも悲しみさえも、時の流れの前には太刀打ちさえできない。
それでも風化させてはならない記憶が世の中には存在しており、その一つが歌舞伎町ビル火災だったのではないだろうか。

(文・沖田臥竜)