>  > ⑩■ 放火か事故か『新宿・歌舞伎町雑居ビル44人死亡火災』⑩血の報酬
血の報酬

⑩■ 放火か事故か『新宿・歌舞伎町雑居ビル44人死亡火災』⑩血の報酬

この記事のキーワード:
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

◯血の報酬


犯罪で得た金銭というのは、得てしてトラブルを招きやすい。何故ならば、表に出てはならない金だからだ。仮に約束を違えられたり持ち逃げされたりしても、警察に訴えることなどはできない。だからこそ、余計に約束が遂行されなかったりすると、反故にされた側が意地になってくるのだ。

仮に残りの報酬、たった200万円が支払われなかったばかりに、嫌がらせのため「明星56ビル」に火が放たれ、結果として44人もの人々の命を奪うことになったのならば、それは到底、許されることではないだろう。


【概要】
『歌舞伎町ビル火災
2001年9月1日午前1時ごろ、東京都新宿区歌舞伎町一丁目の雑居ビル「明星56ビル」(地上4階、地下2階)が爆発音を轟かせて出火。
東京消防庁は、梯子車などを含む消防車と救急車を約100台出動させたのだが、沈下させるまでに5時間40分を要することとなる。逃げ遅れた44人もの人々が一酸化炭素中毒や全身火傷を負い死亡。死亡者数で言えば、1982年2月に発生したホテルニュージャパン(東京)での火災(死者33人)を上回る戦後5番目の大火災』


1000万で丸山さん殺害に着手したKは、中国国際密航組織の「蛇頭」に殺害させると言いつつも、実際に相談したのは同じ中国籍で、もと暴力団員のYKであった。そして、YKの舎弟であったISとANが実行役に起用されることになったのだった。この4人によって丸山さんの殺害は実行されている。

そして、ここから金銭によって丸山さんの殺害を実行した Kらグループとその殺害を依頼したYとWサイドが、残りの成功報酬を巡って、揉めていくことになっていくのである。

何故、そのようなトラブルに発展することになってしまったのか。それは依頼主の笠原友子が、丸山さん殺害後、残りの成功報酬の1000万を依頼主のYに支払うことを拒否し出したからだ。
つまり、笹原に対する洗脳がこの時に解けてしまうのである。

金は人の本性を如実に現す魔物でもある。
Kらによって丸山さんが殺害された後、笹原のもとには1億を超える丸山さんの遺産が、笠原にすんなり振り込まれたのであった。そこまでは計画通りだったと言えるだろう。
しかし、ここで考えもしなかった事実が明らかになる。それは生前、丸山さんが認めていた遺産相続に関する遺言であった。丸山さんの死後、丸山さんが作成していた遺言が出てきたのである。
そこには、丸山さんの遺産は、全て笠原に相続されるように記されていたのだ。

占い師にのめり込み、病弱だった丸山さんの奥さんの面倒もみようとしもしない娘に対し、口では養子を迎えて、遺産の一部を相続させることを仄かしながらも、実際は娘にちゃんと遺産が相続されるようにされていたのだ。

この事実によって笠原は、Yに唆されたと解釈する。
遺産金を目的に、Yに唆されていたと解釈した笠原は、成功報酬として支払う約束となっていた残り1000万円をYに支払うことを拒否するのだ。

実際、事実がどうであれ、殺害を依頼したのは笠原であり、登場人物の全てが丸山さんの遺産目的であった。
そして笠原に至っては遺産金目的で実の父親の殺害を依頼した事実は、動かしようがない。
唆された、のせられた、騙されたなどといった次元の問題ではないのだが、笠原は大金を前にそう解釈したのだ。

当然、焦ったのはYたちであった。成功報酬が入る予定だったのが一転、W経由で殺害を依頼したKたち4人に対する成功報酬。1000万を支払うように、Kたちに詰めよられていくことになるのである。

頼みの綱の笹原は大金を得たことで、すっかりYの呪縛から解放されてしまい、Yとの交際を遮断させていった。

殺害を請け負った4人は、Yらへの責任追及を日増しに強めていくのである。要は残りの1000万を払えと迫るのだ。

そして、一向に成功報酬が支払われないWたちは、確かにこのとき業を煮やしている。

そしてその矛先はYの親族へも向けられたのではないかと、捜査一課では推測されるのだ。

そして2001年9月に起きたのが、歌舞伎町ビル火災。火元と見られる麻雀ゲーム店の実質的オーナーはYの娘婿であった。

果たして、これはただの偶然だったのだろうか。


(文・沖田臥竜)