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令状取得

■ 放火か事故か『新宿・歌舞伎町雑居ビル44人死亡火災』①令状取得

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◯令状

捜査資料は今も廃棄されることなく、新宿警察署のロッカーで静かに眠っている。眠っていると言うことは、既に捜査などは行われていない。
要するに、未解決事件のままになっているのだ。

未解決事件とは、何も凶悪な殺人事件ばかりをさすのではない。
事件か事故かを原因追及するために手続き上、捜査に必要であれば、一旦裁判所から令状を取得することになる。そして一旦、取得された令状は、その原因がはっきりするまで、事件として扱われるのである。それが解決しない限り、その事件は未解決事件ということになるのだ。

そういった意味で言えば、新宿・歌舞伎町の雑居ビルで起きた大火災は、今でも捜査されていない未解決事件ということになる。


【概要】
『歌舞伎町ビル火災
2001年9月1日午前1時ごろ、東京都新宿区歌舞伎町一丁目の雑居ビル「明星56ビル」(地上4階、地下2階)が爆発音を轟かせて出火。
東京消防庁は、梯子車などを含む消防車と救急車を約100台出動させたのだが、沈下させるまでに5時間40分を要することとなる。逃げ遅れた44人もの人々が一酸化炭素中毒や全身火傷を負い死亡。死亡者数で言えば、1982年2月に発生したホテルニュージャパン(東京)での火災(死者33人)を上回る戦後5番目の大火災』


事件当日の午前4時。新宿警察署の幹部は重苦しい口調でこう説明している。

「死者9人、意識不明者が35人...」

断続的に発表される被害は、刻々と悲惨さを増していた。最初の爆発音から1時間後の警察発表では、「10人ほどがケガをしており、18人が逃げ遅れている」というものであった。
だが救助されても心肺停止状態だったり、搬送後に死亡が確認されたり、逃げ遅れた人の数も膨らみ続けていくのである。
その後、意識不明だった人々も次々に死亡が確認され、現場近くにあった大久保病院に搬送された6人の人達も搬送から僅か1時間で死亡が確認されることとなった。


大惨事の現場となった「明星56ビル」は、映画館や居酒屋がひしめく歌舞伎町の中心街にあり、ビルには雀荘や飲食店、それに風俗店が入っていた。
最寄り駅は西武新宿駅。場所はちょうど「新宿コマ劇場(2008年12月31日閉館)」前に位置し、細長いペンシルビルが密集する一角となった。

世も更け時刻は午前1時になろうとしていたのだが、ビルの中には各店の従業員だけでなく、まだ大勢のお客さんで賑わいを見せていた。
そうした最中に、ビルの3階で爆発音が轟くのである。たちまち大量の黒煙や火柱が上がり、避難の為にビルから飛び降りる様子を、近くの飲食店員らが相次いで目撃することになった。

翌朝に判明した被害の全体像は、3階のエレベーターホールに脇にあった麻雀ゲーム店「一休」と、同じ3階と4階にあったセクシーパブ「スーパールーズ」がそれぞれ80平方メートルの全焼になるほどの甚大ぶりであった。
逃げ遅れた44人の人々が一酸化炭素中毒や全身火傷で死亡。3人が重軽症を負ったのだった。
死者の数としては1972年5月に発生した千日デパートビル火災(死者118)などについで、当時としては戦後5番目の大惨事ということになる。


警視庁捜査一課では、すぐさま捜査本部を新宿署に設置させ、死者の身元確認を急ぐ一方、現住建造物放火罪で現場検証令状を取得。

つまり初手から「事件」として、出火原因を調べ始めたのであった。


(文・沖田臥竜)