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逃走劇

中野区警察病院からの逃走劇〜

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逃走劇の幕切れは、自ら警察署へと連絡を入れるという、余りにもあっけないものとなった。
本件である窃盗容疑で逮捕された際、肋骨や鎖骨を折ってまでも現場から逃走しようとしてみせた金容疑者は、もうそこにはいなかった。

逮捕時、肋骨や鎖骨などが骨折した状態であったために、金容疑者の容態を考慮した当局は、一旦、金容疑者を釈放するという形をとり、東京都中野区にある警察病院へと入院させる措置を取っている。その際も金容疑者には、24時間体制で警察官が監視していた。だが日ごとに容態が回復してきた金容疑者は、警察官の僅かな隙を狙って警察病院から逃走。世間を騒がせてみせるのである。
だが、その執念とも言える逃走劇の終焉は、僅か10日目にして「もう疲れた...」と、自ら身柄を確保されたのであった。

「警察病院からの逃走後、確かに金容疑者は指名手配されていました。ただ骨折を治す為に警察病院で治療を受けさせて入院中だったため、身分は釈放されていたので容疑者ではなかったです。容態の回復を待って逮捕し直し、そこから本格的な取り調べを行う予定だったということになります。つまり、逮捕中の逃走扱いにはならないということになるんです」(犯罪事情に詳しいジャーナリスト)

当局サイドも金容疑者の10日間の足取りは掴めていたのではないかと、このジャーナリストは話しており、仮に金容疑者が自ら中野署に電話を入れなくとも、身柄確保は時間の問題であったのではないかと指摘するのである。

確かに著者の元に寄せられた金容疑者の情報は、逃走経路を確実に追跡していると思われるものが多く、金容疑者の身柄確保は、遅かれ早かれ時間の問題であったことが伺えた。
ただ、逃走中の10日間で話題になったのは、金容疑者の足取りだけではなかった。それ以上に業界関係者の間では、次々と浮上する金容疑者の素性が交錯していたのである。

「金容疑者の逃走後、すぐに噂として広まったのが、ある3兄弟の話しだ。その兄弟は、もともと浅草や上野を中心に派手に活動しており、その辺りでは学生時代から有名な存在だった。その3兄弟の一番下の弟が、逃走した金容疑者ではないかと業界内で噂になっていた」(業界関係者)

結論から言えば、早い段階で捜査関係者の幹部は、その3兄弟と金容疑者に肉親関係はないとする見解を示していたという。だが、「やはり一番下の弟ではないか」と主張する声は最後まで根強く残っていた。
そうした誤解を地元関係者はこのように述べる。

「3兄弟の一番上の長兄が、浅草や上野を拠点とする組織の幹部を務めていたこともあるほどの人物で、その組織は山口組系列組織とも対立していたことがあった。その組織の下部組織として、長兄は自身の組織も構えており、その組織に在籍していたのが金容疑者ではないかという話だ。弟の2人は、どちらかと言えばヤクザでというより昔から不良として知られていた。1月に歌舞伎で射殺されてしまったのが、真ん中の弟だと聞いている」

歌舞伎町の射殺事件とは、今年1月に歌舞伎町にあるカラオケボックスで元住吉会系組員だった男性が、住吉会系組員に射殺された事件のことである。

「金容疑者には前科が31犯あるなんて噂にもなっていましたが、真相は分かりません。ただ本件の窃盗容疑に以上に、金容疑者が警察病院から逃走した事で、次々に素性が浮き彫りとなり、話題となったのは確かではないでしょうか」(実話誌記者)

その話題が結果として拡散されていき金容疑者自身に逃走することを諦めさせ、自ら中野署に電話を入れるという、いわば出頭するような形へと導いていったのかもしれない。

こうして、世間を騒がせた警察病院からの逃走劇は、思わぬ形で幕を下ろしたのであった。


(文・沖田臥竜)