>  > 『反社』の隣人 ースクープは眠るー⑱ ー 闇営業問題で暗躍する裏広報 ー 文・沖田 臥竜
続・闇営業問題①

『反社』の隣人 ースクープは眠るー⑱ ー 闇営業問題で暗躍する裏広報 ー 文・沖田 臥竜

この記事のキーワード:
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

7月20日。東京、六本木。その日、私は朝から会食だけで8件の予定が詰まっていた。その間にテレビ朝日での収録まで入るという忙殺ぶりであった。
収録もそうであるが、8件のうちほとんどが、闇営業問題に関わるものであった。今後の方針、事態の収拾、様々な思惑の中で人々の心情は蠢いていたのだった。

午後3時。ようやく半分の会食を済ませた私は、よく仕事の打ち合わせで利用する六本木の喫茶店に、友人の猫組長とテレビ朝日の友人、そして闇営業問題を世に出すきっかけを作った記者と腰を下ろしていた。
そうした中で、宮迫博之氏と田村亮氏の2S会見が開かれた。会見の1時間ほど前であったが、ある人物が動きを見せているという情報が入ってはいた。

「...またか...」

週刊誌を含め闇営業問題に何らかの形で、書く仕事に携わる書き手陣営は、ほとんどの人々がその動きにうんざりしていたのではないだろうか。
仮にその人物をQとしよう。Qがもう少し日頃から、週刊誌の編集部と意思の疎通を測っていれば、闇営業問題はここまで加熱することもなかったかもしれない。
会見前に私に入った情報は、こういったものであった。

ー Qが2人の会見を潰すために、各社のマスコミに連絡を入れているようだ ー

これまで客観的に闇営業問題を見るように努めていた私は、こうした動きに苛立ちを覚えた。
もともとQは、あるスポーツ紙で芸能を担当していた。芸能を担当していただけあって、確かに各メディアにQは人脈を持っていた。そこが吉本興業の上層部の目に留まり、スポーツ紙から一本釣りされる形で吉本興業へと入社。一時期は同社内で広報を担当していたと言われている。

それについては、今でも書き手業界では、嫌味をこめて影でこのように囁かれているようだ。

ー芸能を報じてた人間が、よく芸能側にいけたものだ ー
と。

芸能を報じる側と報じられる側では、立場的に真逆ということになる。それは同じマスメディアにおいても、TVサイドと週刊誌やスポーツ紙などを含め、文字を文書にする側では、微妙に立ち位置が違うのと同じなのだ。だがそうした評価も本人の人徳によって大きく異なる。

Qは、これまで培ってきたマスメディアの人脈を駆使させ、吉本興業の芸人がスキャンダラスされるたびに、広報担当として暗躍していたのだった。

実際、その実力は疑問視する声が多かったと言われているが、次第に横柄な態度で抑えつけるような言動に苦々しく感じていた記者らも少なくなかったようだ。
逆にそうしたQの言動が、スキャンダラスを余計に悪化させることもあったと言われている。
それでもQは、吉本興業というバックボーンを背景に、春を謳歌していたようだ。
そうした中で、Qは自らを失墜させていく事件を起こしてみせるのであった。

大手出版関係者らに対するセクハラ疑惑。そこにQの日頃の言動が重なり、一気に極地へと追い込まれていくのだ。日頃の言動とは、とにかくQは芸人のスキャンダラスが出るたびに、それを報じようとする週刊誌に対して、抑えつけるような態度をとっていたという。

その意向に相手がそわなければ、記者個人の誹謗中傷を辺り構わず撒き散らしていたとも言われている。延いてはそれが、吉本興業からの圧力とも受けとられる面もあったと話す関係者らも少なくない。

そうした圧力や、ましてやセクハラ疑惑に屈していては、媒体として機能していないに等しい。

そこで立ち上がったのが、編集界で今もっともその実力に定評のある、大手出版社の若手編集者であった。

Qに対して、正義感に溢れた若手編集者は、相手が吉本興業という巨大組織を背景に傍若無人に立ち振る舞うQに、真正面から立ち向かってみせた。
それは警告でもあった。そしてQは、それを改める意向を示したと言われおり、一旦は収まりを見せたのである。
だが、Qのセクハラ疑惑が再び浮上。若手編集者は、それらの証拠をQにつきつけ、一歩も怯むことなく、その話しを吉本興業の上層部へと持っていったのであった。

今でこそ闇営業問題の対応をめぐり、痛烈なバッシングを受けているが、当時の吉本興業といえば飛ぶ鳥を落とす勢いであった。マスメディアからの要望など、自由自在に操ってみせることのできる力があった。それでも若手編集者は、粘り強い交渉を重ね、結果としてQは吉本興業から退社を余儀なくされることになるのだ。

だが、それはある意味、形だけのものであったと言えるのではないだろうか。
何故ならば退社したQは、自身で会社を設立。吉本興業の裏広報的、立場であるかのように吹聴しながら、これまで通り、芸人たちのスキャンダルが浮き彫りになるたびに、裏で暗躍してみせるのである。

もしも闇営業問題に、Qが関与していなければ、事態はもっと早い段階で収束へと向かっていたかもしれない。Qは影で暗躍していたつもりだろう。だが実際、そうしたQの言動は報じた側の心情を逆撫でさせ、逆にムキにさせてしまった側面があったとさえ言えるのではないだろうか。


(文・沖田 臥竜)