>  > 『反社』の隣人 ースクープは眠るー⑮ー マトリの大物喰らいー 文・沖田 臥竜
ー喰らってみせるのかー

『反社』の隣人 ースクープは眠るー⑮ー マトリの大物喰らいー 文・沖田 臥竜

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ある大物が社会から痛烈なバッシングを受けた際、それを庇うかのようにその大物を親身になって世話したと言われる人物が存在する。
その人物を仮にXとしよう。Xとした仮名を用いたと同様に、素性においてもある企業のOBということにしておきたい。

世間から浴びせられるバッシングに対して、誰しもが大物との距離を置く中で、Xは自ら息のかかった場所を提供し、その時期、大物の面倒を見続けていたと言われている。その構図は純粋に美談である。
何か厄介ごとが生じれば、手の平を返したかのように薄情な振る舞いをする者が多い世の中で、Xは人情味溢れる逸材であったとさえ言えるのではないだろうか。

だがしかしだ。そんな人情味の人。Xには、根強く囁かれ続けていた別の顔があった。
そして、Xが時折見せる表情を、遠くから鋭い視線を放って見ている者たちがいたと言うのである。

鋭い視線の主たち。世間では、その鋭い視線のことを「内偵」と呼び、主たちのことを麻薬取締部、通称「マトリ」という。
そう、有名人の薬物問題が浮上するたびに、どこからともなく忍び寄り、検挙して見せることで名を馳せているマトリが、Xのことを見ていたというのである。
マトリがXに鋭い視線を放っていたと言われる理由は、Xに薬物に関する疑惑があったからだ。
その疑惑を突き詰めていけば、Xが薬物を調達し、流しているのではないかということになる。
そして、大物が提供されたXの息のかかった場所には、ある地域で半グレ集団を設立させたZが出入りしていると言われていたのだ。
不良の若者たちを束ねていただけあって、Xには逮捕歴もあれば、ある組織との繋がりが囁かれていたこともあった。その組織とくだんの大物も繋がりがあったと言われていた。

この時期、噂の範疇に過ぎないが、Xに絡んだ薬物経由で、他の有名人にも薬物疑惑の噂が立ったこともあった。そうした噂話の一つに、話題の闇営業問題とも関係する人物がいたかもしれない、と言えば誰しも腰を抜かすのではないだろうか。

だが、ここでの問題はそこではない。ここでの真打ちは大物でもXでもZでもないのだ。真打ちはL。ミュージシャンLもその場所で、XやZと親交を深めていたのではないかと言われており、マトリはLを狙っていたのではないかというのである。
そして遂に去年、マトリはLの本格的な検挙に向けて、動き出したと言われていたのだ。

だか結果として、Lはマトリに逮捕されていない。Lの疑惑が晴れたのか、それとも検挙の決め手となる決定的証拠を掴みきれなかったのか、そうした噂は何事もなかったかのように、いつしか掻き消されていくのであった。

だがそれが今年に入り、再びマトリが動き出したと再燃するのである。

一部ではマトリがLの動向を再び洗い始め、LがXの息のかかった場所に、今も出入りしていることを確認し、Zと一緒にいたところも掴んでいるようだ、と言う声もある。
そしてその地域でLが出演したファンに向けたイベントのことも、マトリはいちいちチェックしていたのではないかと言うのだ。まさかマトリが揃いもそろって、Lのファンだと言うわけではあるまい。

もしも仮にLが薬物疑惑で逮捕されるような事態になれば、世間に与える衝撃も大きいだろう。それだけに、こうした噂がもし事実であったとしても、慎重に捜査は進められるはずだ。

現在この話しを口にすれば、「あぁ〜その話しね、去年のこともあるから、どうなんだろね〜」と業界関係者の多くが、そうこたえるレベルであることだけは間違いないと言えるだろう。


(文・沖田 臥竜)