>  > 『反社』の隣人 ースクープは眠るー ⑤ 文・沖田 臥竜
ー恐喝はヤクザのメシのタネ⑵ー

『反社』の隣人 ースクープは眠るー ⑤ 文・沖田 臥竜

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ー恐喝はヤクザのメシのタネ⑵ー


大スターであったBが、芸能界やスポーツ界から爪弾きにされ、極地に追い込まれる羽目になったのは誰の仕業でもない。覚醒剤に溺れたBの自業自得であることは本人が何より理解していただろう。
だがそれでもBには大スターであるがゆえに、許し難き衝動もあった。それはこれまでBの周りに群がっていた者たちに対する憎しみであった。

群がってきた者たちの中には、Bが世話してた者もいれば、暴力団との人脈を駆使し、極地から救い出した者もいた。
一緒になって、覚醒剤を嗜んだ者もいる。
それが業界内に「Bが覚醒剤で逮捕される」というお触れが回った途端、潮が引くようにBの周辺から誰もいなくなってしまったのだ。

薄情なものだと、Bは受け取ったのかもしれない。
そしてその腹いせからか、それとも覚醒剤をやっているのは自分だけではないのに不公平だ、という思いからか、Zの紹介で知り合ったCにこう漏らしたのである。

ー実はDが使用するシャブをDのために自分が新幹線で運んだことがあるー

Dも確かに薬物疑惑をかけられたことのある人物で、Bの覚醒剤疑惑が深まるまでBとCは昵懇の間柄であることは、誰しもが知っているほどであった。

Bから、その話しを聞かされたCはヤクザの血が騒いだ。Dの知名度はBにも決して劣らない。Zの紹介ということもあって、Bに対しては世話を焼くと決めたが、Dに対しては何の義理もない。覚醒剤をやっているというネタを材料に、Dを脅して金銭を巻き上げる計画を立てたのだ。

そしてCは、Dを某ホテルのラウンジへと呼び出し、恐喝しようと企んだのだ。その企みに、後ろめたさのあったDは、某ホテルにへと行き、話し合いに応じると答えたという。だが実際にCが仲間を伴いホテルのラウンジに入ると、Dの姿はそこにはなく、代わりにDの後ろ盾になっている人物が、たった1人でいたのである。
流石のCもその人物には手も足も出せないままに、退散させられることとなったのだ。
Dの後ろ盾となっていた人物は、政界などにも太いパイプを持ち、全国各地に門下生を従えるほどの超大物だったのである。
Cにとっては相手が悪かった。だがDに覚醒剤疑惑があるのは間違いなく、昵懇の仲であったBもそれを証言している。
面子を潰された格好になったCは、その経緯を週刊誌を使い報じさせたのだ。

そうした矢先にBが刑務所帰りの同じシャブ仲間から脅されることになったのだ。
Dを責め立てる計画を練っていたCであったが、今度は立場が入れ替わり、Bを恐喝しようとしているBのシャブ仲間の恐喝を阻止する側に回ることになったのだ。

その結果、シャブ仲間の恐喝は失敗に終わった。
だが次は、そのシャブ仲間がBとの覚醒剤に絡んだメールのやり取りなどを週刊誌に流したのである。
もちろんBのメールやりとりなどをシャブ仲間から、入手した週刊誌を記事にしている。

ただ、その記事には間違いがあった。シャブ仲間の恐喝をCが阻止した際、Cはシャブ仲間に対して代紋などは名乗っていない。だがシャブ仲間からしても、Cの迫力からしてヤクザであることは一目同然であった。
そしてBのその際の背後関係からして、恐喝を阻止してきたのは、Cの関係先のヤクザ組織ではなく、別の武闘派組織と思い込んだしまったのである。
その思い込みが、そのまま記事となってしまったのだ。

折は山口組分裂の真っ只中。奇しくもCの関係先のヤクザ組織と記事になってしまった組織とは、敵味方に分かれて、激しい攻防を繰り広げていたのであった。


文・沖田 臥竜