>  > 反社』の隣人 ースクープは眠るー 文・沖田 臥竜
ー闇の交渉請負人ー

反社』の隣人 ースクープは眠るー 文・沖田 臥竜

この記事のキーワード:
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ー闇の交渉請負人ー


ミスターD。輝かしい功績を残しながら、未だに然るべきポジションにつけず、現在に至っている。
それは何故なのか、と疑問視する声も決して少なくない。
だが、それもDの過去のスキャンダルを知れば、そうした声すら沈静化するのではないだろうか。


甘いマスクにシャープな出で立ち。彼はエリート街道を駆け抜けてきた。学生時代から、既にミスターであった。そんな彼がどこでどう道を間違ってしまったのか。覚醒剤を覚えてしまうのである。

表では甘いマスクでファンを虜にしながらも、私生活では覚醒剤でズブズブになってしまっていたのだ。
類は友を呼ぶ。必然、Dの周囲には覚醒剤愛好家の患者が存在してしまっていた。その患者の1人に、当時、超武闘派組織の傘下に所属する組員がいたのだ。
覚醒剤をキメ快楽に浸るD。組員がそんなDに対して、金をたかり出すのに時間はかからなかった。
同じ覚醒剤を愛用する患者さん同士と言えども、Dと組員には、大きな隔たりがあった。
それは仮に覚醒剤をやっていることを世間に知られたとしても、組員の場合は、逮捕されるだけで失うものが比較的少ない。たいしてDの場合は、有名人なだけに、覚醒剤使用の発覚ともなれば、これまでの人生が破綻するほどの痛恨を被ることになってしまうのだ。失うものが違い過ぎたのである。
だからこそ、恐喝関係が成立してしまうのだ。

組員に弱味を握られたDは、稼いだ金をたかり続けられていた。
それに頭を抱えたDが頼みの綱として、泣きついたのが闇の交渉請負人。ビックネームBであった。
Bは国民的スターAの性グセを矯正した挙句、Aを窮地から救ってみせた実力者である。
闇社会との交渉人としては、打って付けの存在だ。
それにBとDは、学生時代からの先輩、後輩にあたる。可愛い後輩からの頼みである。

「任せとけ。オレが直接、話しをつけてやる!」

Bは力強く胸を叩いてみせたのであった。

それにしてもビックネームB。えらい変わりようと言えば変わりようである。
なぜならば、Bも過去にその組織の別の組員から恐喝されたことがあったのだ。
Bが組員からゆすられていたのは、平成8年暮れのこと。当時の当局の見立てによれば、飲食店で知り合った暴力団関係者(脱退)とBは意気投合したらしく、ゴルフを一緒にするまでの仲になっていたという。そのゴルフ場で一緒にプレイした際に撮った写真が、Bを脅す恐喝の材料になったのである。
その際にBが悩みに悩み抜いた末に頼った先は、ヤクザの代紋ではなく桜の代紋。警察であった。
結果、組員らはBを恐喝しようとしたとして、平成11年に逮捕されている。
警察に泣きついていたBがなぜ闇社会のトラブルを請け負うことが出来るまでにのし上がっていったのか。簡単である。Bのバックに大物ヤクザがついたからだ。

相談を受けたBは、直接Dから金銭をせびっていた組員に連絡を入れている。
当時のそのやりとりは、のちに業界関係者に出回ってしまい、週刊誌などにも報じられてしまう。
しっかりとその会話の中で、Dが覚醒剤をやっていたことも出てきてしまっている。
しかしそれは至極当然と言えば当然だろう。Bはそれを解決させる為に、わざわざ組員に連絡を入れているのだから、必然Dの覚醒剤の話しをしなければ後にも先にも進まない。
それにしてもどうして、Bと組員の会話が出回る事態にまで発展してしまったのか。それはそれで問題ではないか。

「それは組員がBとの会話を録音していたからなんです。その録音テープをBが業界関係者に流してしまうんです。もちろん私も直接その音声を聞きました。しかし...」

ある報道関係者は、そこで言い淀んでみせた。本来なら大スクープのネタである。現にそれを報じている週刊誌もあったのだ。言い淀む理由が見当たらないではないか。

「しかしですね、私らは当時、報じることを見送りました。その理由は、音声が聞きとりにくかったこともあったのですが、どっちも覚醒剤でヨレていて、会話として成立していなかったんですよ」

ちゃんちゃん。ただそのグダグダのお陰で、Dは救われ、組員からの金銭の無心も止まったのである。
2人の会話がもっとしっかりと成立していれば、一部の週刊誌が報じた程度では済まず、大スクープになっていたことだろう。結果としてはオーライである。

ちなみにこのDの素行はそれだけではなかった。
ある女優と不倫もして見せている。その女優も業界内では、薬物に手を染めていると噂される人物であった。また類は友を呼んでしまったのだろうか。
その不倫もしっかり公になりかけた。
だがその時には、Dもしっかりと裏社会に太い人脈が出来ており、そのお陰で火傷程度はしたけれども、大炎上することなく握り潰してもらっていたりする。

花もあり、輝かしい功績を残しながら、未だにDが然るべき椅子に座れないのは、そうした理由があるからだ、と言えば、ファンはショックも受けるだろうが、納得もするのではないだろうか。


文・沖田 臥竜