>  > 懲役に咲く!傑物ども 『関東大炎上篇②』 ー文政パートⅢー 文・沖田 臥竜
ー襲撃ー

懲役に咲く!傑物ども 『関東大炎上篇②』 ー文政パートⅢー 文・沖田 臥竜

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ー襲撃ー


Sは既にその頃、上野界隈では顔役の1人として名を馳せていた。ケンカをやらしても強いだけじゃなく、度胸があった。喧嘩で引くことがなかったのだ。それは今も昔も変わらない。

そこからは、次々に駆けつけてきたSグループの従業員らと地元グループのトップのYが引き連れてきた半グレが入り乱れての大乱闘になり、大勢の警察官が到着し制止させるまで、互いの攻防は続けられた。

カリスマ的存在であるSの顔面に蹴りを入れらたことで、Sグループの幹部らはいきり立っていた。
だが、まだこの段階では、そこまでの事件に発展していないし、当初は喧嘩両成敗という形で、逮捕者も出ていない。当事者のSが無用な争いを望んでいなかったことも大きかっただろう。
数度の小競り合いが続き、再び大きなきっかけを作ったのは、地元グループのYらであった。
今度は半グレだけでなく、地下格闘技の若者も寄せ集め、約20人でSグループを襲撃するという暴挙に出たのである。最初の乱闘騒動から、僅か3日後のことであった。

その日、朝から東京には雨が降り落ちていた。その中を覆面で顔を隠し、武装した地元グループの約20名のメンバーが次から次に、Sグループの従業員を襲撃したのだ。そして、最初の襲撃地点から三ヶ所目となる中町通の中心地で、Sグループの従業員2人を発見、刃物で顔面を切り刻むなどの激しい暴行を加えたのである。
それを見ていたのがSであった。防犯カメラにより、その時の映像が今でも残っているのだが、Sはやはり強かった。それもそのはずである。Sはキックボクシングの心得があったのだ。
2人の従業員を助け出そうとSは舞うように、地元グループのメンバーを次々に薙ぎ倒してみせたのだ。
しかし、多勢に無勢。マンガや映画の世界のようにはうまくいかない。5人まで倒したところで、後部をビール瓶で殴られ、くらっとなった所を一斉に殴る蹴るの暴行を加えられたのだ。
たまたま運が良かっただけで、仮にその暴行によってSが命を落としていたとしてもおかしくなかった。顔面は顔の形が分からないくらいにまで腫れあがり骨折させられ、整形手術をしなくてはならないほどの重傷を負わされ、2人の従業員らとともに病院送りへとされることになったのだ。

ここからであった。あとに全治不能と診断される報復劇が始まるのは、ここからであった。

それを危惧していたのは、他ではない。S自身であった。


文・沖田 臥竜