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一億総情報通

ヤクザのツイッター 〜一億総情報通〜

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〜一億総情報通〜

社会全体にツイッターやLINEといったアプリが大衆化され、以前では考えられないほどの情報が現在、SNS上では蔓延している。そこには便利となった側面もあれば、関係者しかしらないはずの情報や話題が瞬く間に外部へと漏れてしまい広まることも決して少ない。
それはこれまで情報漏洩を徹底させていたヤクザ社会においても、例外ではないと言えるだろう。

「先日、ある組長の裁判を傍聴していたのですが、その傍聴している最中に、傍聴していた事件の裁判内容がSNSで他から送られてきたんです。同じように傍聴していた誰かがリアルタイムで外部に知らせ、瞬く間にその情報が拡散されたのでしょうが、これには実際、驚かされました」(犯罪事情に詳しいジャーナリスト)

こうした傾向は、山口組が分裂したことで、より一層、強まったと言えるだろう。極論を述べれば、業界関係者によるSNSの使用そのものが、分裂騒動が生み出してしまった産物とさえ言えるのではないか。

それまでは著者の知り得る限り、ブログを書いている組員は確かに存在していた。LINEアプリを使用している幹部も決していない訳ではなかった。
だが現在のようにツイッターを現役の組員が当たり前のように活用しているなんてことは耳にしたことがなかったし、そこから内部情報が発信されてリークされるなんてことはまずなかった。
だが分裂後は、そうしたことが日常的になったとさえ言えるだろう。

最近の事例をあげれば、六代目山口組系のトップの話題となるのではないか。ある意味、それは神戸山口組の総本部長辞任騒動と類似した形で、業界関係者の間で拡散されることになった。

「毎日どこかしらか転送情報としてヤクザ事情が流れてくる。あたかもそれを見てきたかのように送られてくるのだが、不思議なもので似たような話しが送られてくると真実かのように聞こえてきてしまう。最初は一笑に付していたとしてもだ。実際、やっかいなのは、乱れ飛ぶ情報の中に信憑性があるものもあったりすることだ。だから決して捨て置けなかったりする。最近では六代目サイドのある幹部が、上層部との間で意見の食い違いが出ているなんてことが話題になった。調べてみると当局側でも把握していたようで、その幹部がそのあとに開催される定例会に出席するかどうか我々の間でも話題になっていた」(業界関係者)

この関係者が話す定例会とは、3月5日に神戸市篠原にある六代目山口組で開催された定例会のことだ。著者自身にもあらゆる関係者から、件の幹部を巡る情報提供があったのだが、のちにこの件は事無きを得て解決している。だが当時は様々な噂が錯綜していた。

「欠席した幹部の代わりに幹部が率いる二次団体から最高幹部が代理で出席しているので、噂にあったような幹部の議題などは出ていないようだ。ただ何もないわけではないかもしれない。通達事項の中に上層部の意向に沿うようにといった趣旨の発言があったのではないかと漏れ聞こえている」(捜査関係者)

そうして漏れ伝わった話しでさえも、SNSで関係者の間に拡散されることは少なくない。

分裂当初、この分裂騒動はこれまでの暴力による抗争ではなく経済抗争。つまり組織的に経済力を維持できるかどうかがキーポイントとなるのではないか、と予測されていた。しかし実際には激しい衝突の末、割って出た神戸山口組からは、3つめとなる任侠山口組が誕生し、3組織ともに暴対法の適用を受ける指定暴力団として官報に公示されることになった。更に暴排条例の改正などで、ヤクザ組織の資金源は限界にまで締め付けられている。
そうした状況の中たがらこそ、情報収集が重要視されていくことになるのかもしれないし、同時に意図的な情報操作も繰り広げられていくのではないだろうか。


(文・沖田 臥竜)