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ヤクザの地下組織の序章

跋扈する半グレ、ヤクザの地下組織の序章の始まりか

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■跋扈する半グレ、ヤクザの地下組織の序章の始まりか

暴力団壊滅を目的とした第一次頂上作戦(昭和39年〜同44年)では、山口組以外の全ての組織を解散させ、ヤクザを徹底的に取り締まったことで知られている。結果、ヤクザ人口は急激に減少したのだが、当時を知る専門家によれば、現在のヤクザに対する厳罰化は第一次頂上作戦すらも更に凌駕するというのである。その指摘通り現在、日本全国のヤクザ組織は暴排条例の施行後、凋落の一途を辿っている。

「とにかく若い者が入ってこない。昔はどこの組事務にも部屋住みと呼ばれる二十代の若い衆が寝泊まりしていたものだが、それすら確保できない組織が少なくない。直参の本部(二次団体組事務所)なんかでも部屋住みがいないところも少なくないのではないか」(三次団体組長)

ヤクザ組織に入り組員と登録されてしまえば、反社会的勢力とみなされ、賃貸契約も結べなければ口座すら開設できない。その上で規律は厳しくシノギが冷え切っていれば、二十代の若者がヤクザ組織の門戸を叩くことは稀となってしまって当然なのかもしれない。
では、そうした若者たちは、どこへと流れているのか。言うまでもない。準暴力団と呼ばれる「半グレ」へと変貌しているのだ。ある者は地下格闘技を通じて、ある者は旧車会と呼ばれる単車のチームを通じて、またある者は特殊詐欺のメンバーとして、各地にある半グレのグループに所属しているのである。

「半グレと言えば、東京を拠点に一躍有名になった関東連合や怒羅権。大阪だと強者やその強者から別れて出来たアウトセブン。そして去年末に50数名の逮捕者を出したアビスなどが有名ですが、そういったグループは東京や大阪だけでなく各地に存在しています。当局ではそれら全てを各都道府県の公安委員会によって、準暴力団としていますが実際、法規制が追いついていないというのが現状ではないでしょうか」(ジャーナリスト)


つまり実態を把握しきれていないというのだ。それもそのはずで、準暴力団と呼ばれる半グレグループには、指定暴力団として官報に公示されているヤクザ組織と違い盃などの縛りや登録制度がない為、本人たちでさえ準暴力団のグループに所属している意識がない若者たちが少なくない。加えて準暴力団の場合は指定暴力団と違い、官報に公示されることもなければ、世間に対して公表する義務が定められていないのだ。つまり準暴力団に指定されているかどうかは、本人たちでさえ分かっていないのである。
著者が知る限り、警察庁が準暴力団として認定しているであろう半グレグループは、全国各地に29グループ存在しており、組織の実態は明らかにされてないグループが大半ではないかと思われる。
ただ、どのグループにおいてもヤクザとの繋がりが必ずあり、グループのトップや幹部になればなるほど、有力な幹部が後ろ盾となっている。

「組員としては登録はされていないが、グループのトップがヤクザ組織の有名な幹部の舎弟になっていたり、組織としてグループのケツモチになっているケースが殆どだ。そういった関係から、半グレグループが特殊詐欺などで稼いだ資金の一部が暴力団の資金源になっている。だからこそ、特殊詐欺などで半グレグループのメンバーらを逮捕した際、突き上げ捜査を行い、捜査線上に浮上した幹部まで検挙している」(捜査関係者)

だが壊滅的な打撃を与えれているかと言えば、そうではないという。検挙の入り口が実態が解明出来ていない半グレグループなだけに、直接現場の若者たちと接点がある幹部までにどうしてもとどまってしまい、幹部組員を仮に逮捕できても起訴するまでに至っていない事案が多いようだ。
それだけに、ヤクザ組織からしても幹部組員が半グレグループを抱えているといないでは資金力も違い、ヤクザにとっても半グレグループに需要が出来ており、無理に盃を与えて組員として登録するよりも実態を隠したままで配下におさめている方が良いことになる。

最近では、ある半グレグループの有力幹部の獲得をめぐり、トラブルが起きていたという噂がある。

「その人物は来月にも刑務所から出所してくる。その地域では有名な不良で、その地域に基盤を置く組織としては、どうしても抱えておきたい。結果、その人物に目をつけていた2つの組織が、その人物の獲得を巡って諍いになっていたという話がある」(地元関係者)

関係者が言うには、それは捜査当局の知るところとなり、現在でもトラブルに発展しないか警戒を強めているという。

このような観点から見れば、組織に登録しておく人数は最低限の組員だけでよく、あとは半グレ化させ地下で活動させていた方が良いということになるわけだ。つまり半グレの存在は、ヤクザ組織に対する法の厳罰化による台頭ではなく、厳罰化より変貌を遂げたヤクザ組織の地下組織化となっているということなる。

「客引きなどでもそうですが、キャッチのグループ同士で揉めた場合でも、話しがつかないとバックのヤクザがどちらのグループからも出てきて話し合いが行われています。バックが出てくるということは、資金が流れているからです」(ジャーナリスト)

法の締め付けにより、ヤクザ社会は雁字搦めにされてしまっている。しかしそれによってヤクザ組織の潜在化は既に進んでおり、その象徴が準暴力団と言われる半グレの存在なのかもしれない。

(文・沖田 臥竜)