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マスターからの相談 

山口祐二郎のヤクザから狙われました! 警察の暴力団壊滅作戦を斬る!

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 現在の日本は、暴対法、暴排条例しかり、ヤクザを人間と思わない国になっている。昨今の警察によるヤクザへの締め付けは、常軌を逸しているように見えてしまう。ヤクザであれば、ほんの少しのホコリを叩かれて逮捕をされてしまう。部屋を借りられない、銀行口座もつくれない。私はヤクザの味方をする立場ではないが、今の日本社会は日本国憲法が定める基本的人権の尊重を、完全に無視していると言わざるを得ない。
 当然、こうした状況ではヤクザのシノギは厳しくなる。生活に困窮する組員が続出し離脱者は数多く出ている。だが、如何に警察が取締り強化をしても、ヤクザは最後までヤクザを貫き通す。どんなことがあっても、死ぬまでヤクザとして生きるのだ。
 少し前、警察によって追い詰められたヤクザと、私は望まずにトラブルになってしまっていた。今回はその件を書いて問題提起をしたい。

●マスターからの相談 

 私は打ち合わせなどで飲みに行く席が多い。頻繁に顔を合わせていれば、自然と居酒屋を経営する知人も増えていく。いつものように楽しく飲んでいたら、普段は明るいマスターが深刻な表情をしている。
「マスター。何か嫌なことでもありましたか?」
 頭を掻きながら、マスターが答えた。
「いや、それが板挟みになっちゃってな。お世話になっているヤクザの親分がいるんだけど、最近揉めちゃってて......」
 マスターはワインを煽り、顔をしかめた。
「どうしてですか? もし差し支えなければ理由を教えてください」
 マスターは思いつめた顔をして、グラスを置いた。
「警察からの指導なんだ。今、暴排条例でヤクザに宴会場として店を使わせたり、みかじめ料を渡したら駄目なんだって。でも、そういうことを親分に言っても分かって貰えないんだ」
 現在、地方公共団体の条例である暴排条例では、相手が暴力団と知りながら宴会をさせたり、用心棒代等の「みかじめ料」を支払った場合、利益供与したとして店側が禁止行為をしたとして警察から勧告、公表などをされてしまうのだ。酷いケースになると、罰則まで受けることもある。
「それに最近、金がないのか、みかじめ料を値上げしたり、酒飲んでも会計を払わないんだ。うちもボランティアじゃないから、困っちゃうよ」
「シノギが厳しいんですね」
「うちの店も同じで厳しいからね。そんなんじゃ付き合えなくなっちゃうよ」
 マスターは苦虫を噛み潰したような顔で笑った。
「聞いてくれてありがとう。親分を説得するから大丈夫だよ」
 マスターは私の焼酎に、ワインを注いだ。

●馴染みのヤクザの凶悪化

 が、事態は簡単に終わらなかった。それからというもの、私がマスターの店に飲みに行く度に、カタギには見えない中年の3人組が現れるようになった。
「うちの組長が散々面倒見てきたのに、薄情な奴だな」
 中年3人は、紛れもないヤクザだ。
「お帰りください。俺は店を守らなきゃならねえんで」
 しかし、マスターの堂々たる姿勢とは裏腹に、店には影響が顕著に出てきていた。私は気にしないが、中年ヤクザ3人が押しかけてくるのを嫌がる客がほとんどだからだ。
 それでいて、あからさまな脅しを中年ヤクザ3人がしないのもあったが、マスターは警察にも相談をしないでいた。マスターは義理堅い人物だ。昔からお世話になってきたヤクザの親分に不義理はしたくないのだろう。
 やがて中年ヤクザ3人は、店の客に話しかけて嫌がらせしてくるまでになった。そうした様子を見てきて、私も我慢ならなくなっていた。居酒屋1軒に毎日のように嫌がらせにくる程、暇で金がないのか。どうしようもなさ過ぎる。
「いつも楽しく飲んでいるのに、いい加減にしてくれませんか」
「お前、知ってるぞ。右翼なんだろ。右翼ごときが調子に乗るなよ」
「そんなつもりもありません」
「うるせえ! 関係ねえ! 今日は帰るが、覚えとけよ!」
 雰囲気から察するに、かなり切羽詰っているみたいだ。大分、シノギに困っているのだろう。
 話をむしろ悪化させてしまった私は、嫌な予感に襲われていた。

●事態の終焉

 後日、私は一度だけ親分に話し合いをする席を設けて頂いた。親分曰く、若い衆も辞めていって組員も5人程しかいないらしい。でも、大変なのは分かるがマスターの店に嫌がらせをするのはおかしいだろう。しかし、いくらお願いをしても、親分には納得をして貰えなかった。私は悩みに悩んだ。マスターの手前、こちらから攻撃を仕掛けることもできないでいた。
 が、思いもよらないことで事態は一気に終焉する。
「親分と組員が捕まったよ」
 マスターからの一報。何と、トラブルになっていた組の親分と中年ヤクザ組員が、拳銃と実弾を所持していたとして警察に逮捕されたのだ。恐らくその拳銃と銃弾はマスターと私を狙う道具だったのだろう。現在は昔と違い、拳銃を使用した暴力団事件の刑期は重くなり、射殺行為でもすれば死刑か無期懲役は免れないのにも関わらずだ。それでもヤクザは拳銃と実弾を持っていた。もう少し親分と組員の逮捕が遅ければ、私の身体に鉛玉が貫通し風穴が開いていたかもしれない。ヤクザはヤクザだ。任侠道からかけ離れても、暴力こそがヤクザの本質である。
 こうした事態にまでなってしまった火種は、警察の暴力団壊滅作戦の歪みである。追い詰められたヤクザはシノギに困り、私のような一般市民にまで危害を加えるまでになってしまったのだ。

●最後に

 警察の取り締まり強化によって、ヤクザと一般市民の共存共生が崩された。古き良き仁義を重んじる一般市民から愛されるヤクザは激減させられたのだ。事実、現代ヤクザの中心的な収入源が、老人を騙す詐欺などに変化をしたことからも明らかであろう。
 法の網を掻い潜る半グレと呼ばれる新たな勢力も台頭し、ヤクザのマフィア化も急速に進んでいる。警察の暴力団壊滅作戦は、逆に治安の悪化を招いているのではないか。そのことを、私は身を持って味わったとだけは言わせて頂く。

山口祐二郎
1985年、群馬県生まれ。「全日本憂国者連合会議」議長、「憂国我道会」会長。作家・活動家として活躍。
山口祐二郎公式ツイッター  https://twitter.com/yamaguchiyujiro