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東南アジアドラッグ事情

日本人の運び屋が急増する東南アジアドラッグ事情

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 数年に一度、東南アジアでの日本人による薬物絡みのニュースを耳にする。年々厳しくなっているとは聞くが、一向に減らないのが現状だ。しかし昨今では運び屋に仕立てられたりする巻き込まれ型ではなく、主体的に取引をする日本人が増えているという。

 特に多いのは日本の病院で処方される薬を海外に個人輸入し、クラブなどで売買するケースだ。なかでも、日本ではうつ病や不眠症の患者に処方される睡眠薬が人気高いという。例えば、2015年に販売中止となったニメタゼパム(日本名称エリミン)。通称「赤玉(あかだま)」とも呼ばれるニメタゼパムは、合法であるのを良いことに日本では十数年前からクラブや野外フェスといったいわゆるトランスミュージックのイベントでマジックマッシュルームやケタミンと共に若者の間で常用されていた。特にマジックマッシュルームやケタミンが違法薬物として指定されるようになってからは、病院で簡単に処方されるニメタゼパムの人気は高かった。

 海外在住の日本人のなかには、このように合法的に日本で入手できる気軽さから違法輸入を繰り返す者がここ数年で増えてきているという。特に多いのがタイで、空港での荷物検査も日本人に対しては比較的甘いことが多いため簡単に輸入できてしまうのだ。日本から運んでくるのは専業の運び屋ではなく旅行客で、タイに住む買人から多少のマージンを受け取り、軽いアルバイト感覚で輸入代行に手を貸してしまう。その多くは友人伝えやネット掲示板で集められているという。

 また、タイは東南アジアの中でも風俗店やクラブ、ディスコといった場所が多く、販売の場所としては最適だとか。実際、このニメタゼパムを知人に頼み輸入していた日本人男性は販売中止となる1年前にバンコクのクラブで売りさばき、月8万バーツ(約29万)ほど稼いでいたという。このような代行輸入だけでも罪に問われるのだが、中にはもっと大胆に輸入を行っている日本人もいるという。

「ラオスやカンボジアに行き、現地でマリファナやマジックマッシュルームを買いそのままタイに持ってくる日本人もいます。特にラオスは手に入りやすく税関も甘いので、簡単に輸入できます」

 大胆不敵な手口ではあるが、確かに筆者もラオスに陸路で入った際にバックパッカーの楽園と呼ばれるバンビエンでは『ハッピーメニュー』と謳った、マリファナ入りのピザやマジックマッシュルームのシェイクがレストランで堂々と売られていた。一応は違法ではあるのだが、暗黙の了解という雰囲気で気軽に注文できるようになっていた。

 このように旅行者だって簡単に手を出せてしまうのが、麻薬をとりまくアジアの現状である。とはいえ薬物の使用はもちろん所持、密輸・輸入代行は立派な犯罪である。過去には1994年と2009年にフィリピンとマレーシアに覚せい剤を持ち込もうとした日本人が死刑判決を受けた事件も記憶にあることだろう。

 薬物=破滅。それが成り立つことを忘れずに、たとえ海外旅行でもハメを外しすぎないことだ。
(取材・文/カワノアユミ)

●カワノアユミ
東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。裏モノ・夜ネタを主に執筆。東南アジアの日本人キャバクラに9カ月間、就職潜入した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イースト・プレス)発売中。