闇金の終焉
──よくVシネで、ナニワ金融道とかあるじゃないですか。ミナミの帝王とか。あれを見てよく笑っちゃうんですけど、なんでこんなに情があるの? 金貸しがこんなにいい人の訳が無い、と。
「あそこまできれいに形にハマることがまずない。あれは漫画の世界ですよ。飛ぶとか死ぬとか逃げるとか。当然の世界だから、人に仕事をさせて取る、いろんな取り方を見せられるんですけど、情を掛けたら甘えるだけですね、子供がお菓子を買う金がないから小遣いを置いて来た、なんて聞いたら怒鳴りましたよ、情を掛けるなって。
今の時代は「藤井だ」と「毎日歌舞伎町にいるから、細かい銭でもいいから持って来い」と言えば3秒で捕まる時代じゃないですか。仕事としては江戸時代からあると言われていますよね。金貸しなんか」
──闇金がもうダメだな、出来ないな、と思った瞬間は?
「行政の締め付けが厳しくなった時ですかね、口座から金が動かせないじゃないですか」
──その当時、闇金を運営していて、これはちょっと稼げないな、と思われた時期はいつですか?
「まず、口座が止められて来た時。それと資料屋が潰されていった時。そうすると、今度はインターネットで裏から入って行かないといけない、資料屋を見つけるために。そうすると会社の士気が落ちる。士気が落ちるとともに、売り上げも落ちてくる。撤退するしかないな、という考えに繋がりますよね」
──口座が止められたときに、口座の中に現金ってあるんですか?
「入ってますよ、止められたというのには理由が沢山あって、作れなくなったり、凍結しやすくなったり、弁護士が電話口で止められる、というだけの話で、その時点でやりにくい。口座の売買もできない、作れなくなってきた、という話です」
──口座番号に適当な理由を付けて文句を言えば止める事出来ますからね。
「そうですね、後は組織犯罪対策法とか法律的な締め付けですかね」
──ひと言で言えば寒くなったのか?
「簡単に説明すれば寒くなっただけです(笑)体がいつ持って行かれるか分からないから。それと刑も高くなったし」

──でも、人材はいるわけじゃないですか。闇金の。その人たちはどうしたんですか。動かしたんですか。他の業者とかに。
「あの時は俺もFXでかなり負債を抱えた状況で正直手一杯でしたね、だけどこいつは何の仕事が向くのか、ITか、例えば客引きか、ヤクザか、とか見極めて色々割り振りましたよ、それで当然俺の電話番号はみんな知っているから何かあったら俺の名前を出せよ、駆け付けるから電話して来いよ。と言う感じですね。
だからその当時の人脈は今も動いているし、俺を支えてくれている人間です、反対に今は俺を信じてくれてありがとう、と言う気持ちがありますね」
藤井学氏の闇金の思い出を色々聞いたが、次回からは彼が地場とする新宿の歌舞伎町でのシノギを書ける範囲でお伝えしよう。