インターネットの怪物インタビュー
本堂まさや(激裏情報代表)
聞き手/花田歳彦
2回目となった前回「20年の間には逮捕も......老舗サイト「激裏情報」代表・本堂まさや氏インタビュー2 「(僕は)代表者という名のパクられ要員、雇われ店長なんで」」では激裏情報運営の苦労などを語ってもらったが、今回は時代とともに移り変わっていった情報の質や変遷について語ってもらった。
「アメックスはブラックでも通る」
──その当時(立ち上げ時)人気だったジャンルはお金儲けが多かった?
「多かったですね。それとまだパチンコが攻略できたんですね。セット撃ちとかゴトとかあって、ある日「ここのホールの何番から何番の台が違法ログ」だと。「こうやればいいよって」出ちゃったらしくって、電話かかってきましたね。
中国人かなんかわからないですけど「うちの店を出すの止めてくれないか」って。どっから来たんだろうなと思ったんですけど」
──自分たちの利益取られちゃった。実際行った人がいたんだ。
「居るんでしょうね。僕は受けた情報をそのまま流したんですけど、地方かどっかだとおもうんですけど。向こうはそれがムカついたんでしょうね。すいませんって謝るだけですけどこっちは。
いまでは違法ログとか減ったと思うんですけど、そういうのが普通にあったんですよね」
──そんな情報多かったんだ。
「ありましたね」
──エロネタも来る?
「結構来ますよ。もう新鮮じゃないですけどね。昔は具が見えたらみんな喜んでましたけど、そんなんはもう海外サイト、エックスビデオみればいいじゃんって。エロについては飽和してるというか」
──明らかにこれは変な使えないネタとは?
「完全な使えないネタですか、僕がみることはないんですよね。フィルタが掛かっちゃってるから。
たまにチョコチョコ見るのが「誰でもアメックスのプラチナカードが取れる」とか。これ結局セゾンのアメックスのプラチナカードなんですよ。年間費安くていいんですけど、インビが届けばアメックスって相当緩いんでほとんど通るんですよね。
それをシノギにしてる人がいて「20万で作るよ、うちの申込書に記入して貰えば通るから」っていうけど、誰が通しても通ります。紹介者がいれば通るので。そういうのが裏情報といえるのかと」
──周りの人にとっては有益な情報?
「そうですね。アメックスはブラックも通っちゃうんですよ」
──ブラックでも通る?
「通りますね。いまクレジットカード作るほうが銀行口座作るより楽なんで。で銀行口座ないとクレジットカードが作れないみたいな。銀行口座の与信がクレジットカードの与信と被っちゃってるんですよ」
──じゃあ銀行口座を作れる人はクレジットカードが
「意外と作れちゃいますね。アメックスに関しては多分CIC(個人信用情報機関)見てないですね」
──ANAとかヤマダ電機とか提携カードがあるじゃないですか。そういうのは見てないってこと?
「おそらくアメックスもCIC、いま携帯も分割払いで払ってくる時代なんで、あんまりあてになんないんですよね。移動情報とかリスケとは入ってたら問題ですけど、それでも2年前の時効とかだったら通っちゃう」
──今までサイトを売ってくれ、と言われた事も?
「何度もありますよ、(ヤクザを)引退している人もそうだし」
──いくらで?
「最初は片手かな、5千万円」
──あのノウハウと蓄積でそれは安いね。
「安いですね、反対にフロントの誘いかもしれないのでやんわりと」
──警察との関係は?
「よく捜査事後照会がきます。全国からきます」
──例えばどんな感じで?
「最近だと、ペットボトルの中に画鋲や釘を入れて、要は爆弾。
コーラの中にメントスいれるみたいな感覚で、砂場に埋めちゃったんですよね高校生が。それで子供が怪我しちゃって、5分か10分後に爆発したんでしょうね。それでやった人間が「いや激裏情報で見た」と。それはまあデカかったですね。
うちが分かるのはメールアドレスだけなんで、向こうが言ってきたメールアドレスがあるかどうか照会できますけど、名前を言われてもわからないですよ。こんな人間いるかと言われても」
──そういう事件があると照会が来る?
「そうですね。大体やっちゃったってやつですね。会員さんが。やっちゃダメって言ってるんですけど、やっちゃう人がいるんですよね」
──サイト紹介に「情報とはすなわち未来への架け橋」って一文がある。激裏の見通しとしては、このウェブの世界とは情報をアップするだけで逮捕されたりすることを危惧してるよね。ゆくゆくは日本のウェブサイトはどのようになると思う?
「もう、ダークウェブ(インターネットの最下層にある通常の検索ではアクセスできないウェブサイト群で違法行為や犯罪関係の情報が眠っている)とか存在してるじゃないですか。シルクロードウェブ(違法な薬物やデータを販売していたサイトで現在は摘発され閉鎖)とかありますし、本来僕らは向こう側なんですよね。いま僕はこちら側にいますけど、僕ら辺りがギリギリなんですよ。R-ZONEさんも結構ギリギリのとこにいるなと思ってますけども。
やっぱり、そういう意味では僕らがギリギリなのかなと。それ以外については完全にダークウェブに移っちゃってるんで。
これからどうなるかというと、僕らのラインもどんどん上がっていくと思います。緩いというか昔のように過激なことはできなくなっていくと思います」
──それは少し寂しさが。
「これはこれで、ダークウェブにゲートウェイを持てばいいんですけど、面白くないですよね。これって懐古主義的なもので、昔からつづくじゃないですか「昔は良かった」って。そういうような自然な流れだと思います」
──エロへの探求や(情報が)面白い、面白くないといった。その境界線を超えちゃったからB-CAS事件とか、名誉毀損事件が起こったと思うんだけど。原動力ってなに?
「僕のいまのですか? 知的好奇心だとおもうんですよね。エロでもこの子どんな中身してるのかなとか。知的好奇心と言っていいのかわからないですけども」
──もともとネットの入り口がエロ画像の収集だもんね?
「エロ画像収集してましたからね。たまにねハードディスク飛んじゃったりしてね。またリセットされて1から溜め直すとか、やっぱり知りたいんでしょうね。会員もそうだと思うんですけどね」
──いまや、ダークウェブのほうが情報的には濃いのがある?
「ありますね。だからダークウェブでメルカリ(個人でできるフリーマーケットサイト)やれたら良いなと思ったんですけど。シルクロードニッポンって、ビットコイン(ダークウェブにおいて主流通貨となっている仮想通貨)決裁で。
でもまあ警察に狙われるし、今度はFBIに狙われるし、犯罪組織になっちゃうし。ダークウェブはひとつの方法だと思うんですけど、そこを超えるか超えないかって、今の会員さんに合ってるのかというと。微妙かな」