インターネットの怪物インタビュー
本堂まさや(激裏情報代表)
聞き手/花田歳彦
溝口敦氏の著作「闇経済の怪物たち、グレービジネスでぼろ儲けするする人々」でも紹介され、現在のこの世代ではかなりの有名人であろう、激裏情報代表の本堂まさや氏を招き、2時間以上のロングインタビューを行った。
実は聞き手の私と激裏情報代表の本堂氏との付き合いは意外と長く、ともにムック企画をしたり、2ちゃんねるのひろゆき氏も含めたトークイベントを過去に行ったりした。
書籍版激裏情報ともいえる「激ダス」(三才ブックス)を2年に1冊出していたが、次回からは有害図書指定の関係もあり、名前を変えて「激ペディア」として発行するという。インターネット黎明期から精力的に活動し続け、利用者の知的好奇心を満たしているサイトである激裏情報の代表、本堂まさや氏の裏側に迫った。
情報の確認のために外国人の殺し屋に連絡したことも
──溝口さんの本では有料会員が8千人と書かれていたが、現在は?
「1万人位ですかね」
──色々なジャンルのスキルがあるスタッフは?
「50人で常勤が5人位ですね」
──24時間スカイプで情報を共有して会議をしている?
「そうですね」
──情報提供の数は?
「年間1000から1200通です」
──使える情報はどのようにユーザーへ届くのか?
「使える情報は検証して出しています。しちゃまずいのはしてないですけど。」
──そりゃそうだよね、情報は生きているし、時間との勝負だから。それらは全てチェックしているのか?
「すべてとは言えませんが、最終的にはそうですね。発行するときには最終チェックしていますね」
──ではその前にはある程度、専門のスタッフとかが検証して激裏(本堂氏)に?
「そうです。僕の役割というのはデリヘルのパクられ店長みたいなもので、送信ボタンを押すというのが仕事でして。それをすることによって、ほかの人はあくまでスタッフとしての内の情報として。最終判断はしてくださいということで、私が送信予約ボタンを押すという形です」
──それで完全アウトの情報もあると
「ありますね。なかなか使いにくいですね。これは難しいんですけど、伏字をいれたりとかして回避してはやるんですけど、そうは書いて欲しくないので、完全アウトなものに関しては適宜、編集修正して会員情報に頼るということにして。まあそういっても完全アウトな情報って、この電話番号でシャブ売っていますよって書けないじゃないですか。確かに番号かけたりしたら人が電話口に出たりするんですけど」
──掛けるんだ(笑)
「しますよ、本当に出るかどうかを確認するために」
──電話番号ですよってなった場合、掛けたら出ただけでOKなのか。それとも聞くのか? 聞いたら相手が戸惑わない?
「戸惑いますね。日本人じゃないときがありますからね。「ハロー」とか」
──海外もあるんだ?
「シャブじゃないけど、前にあったのが、フィリピンマフィアの殺人請負人という触れ込みだったんですよ。その人とはコミュニケーションできずに、お互いに片言の英語で最後「バアイ」って切ったんですけど。僕の英語力が足りずに伝えきれなかったんですけど」
──海外の人間?
「本当に異国の人が出てきてやってくれるのかもしれない。でもそういうのはちょっと使えないですよね」
──今上がってくる情報ってどういうジャンルのものが多いのか?
「お得情報が多くなりましたね。例えばネットで電話番号を登録したらジュースを貰えますとか。昔はそれこそ作れるわけないんですけど、プルトニウムから原子爆弾を作る方法とか」
──サリンの作り方みたいな?
「そうそう、原材料をどこで入手するんだって話ですけど。そういうのは減りましたね」
──より生活に近い感じの情報?
「裏情報というよりお得情報になっている」
──その考えられる理由は何があるのか?
「ひとつに会員の層が広がっちゃったということが。昔はネットをする層ってマニアじゃないですか。高校生がスマホ持ってる時代なんで、そういう人からするとサリンの作り方というよりも、自販機からコカコーラ1本貰う方法のほうが身近なんでしょうね。裾野が広がったということかもしれないですけど」
──情報の密度は薄くなった?
「そうですね。コアな人には物足りないというか。うちは知的好奇心を満足させるためにあるんで、実際作れなくてもサリンの作り方知ってると嬉しいじゃないですか。作れるわけは中々ないとおもうんですけど」
──20年前から比べるとマニアックな情報を求める人が少なくなってきたのか?
「流せる情報というのが、例えば不正アクセス禁止法とか、昔は人のIDとパスを流してたんで。当時は全然問題にならなかったんで。キャリアに電話かけて住所とか聞いてみるとか、ああいうのは結構やりようがあったんですよ。いまはガッチガチで。うちも一応番号調査受けてますけど、番号調査リスクですので、相手が誰なのか僕がわかってちゃあ悪いというのもありますし」
──あのバナーにある探偵会社は自前でやっているんだ?
「そうそう、届け出も出して。電話番号の調査だけではないですよ」
──サイトの見掛けがすごい健康的
「そっちにしました。これも時代の流れなんですけど。背景が黒いとコンバージョン(ユーザーの会員登録率など)が下がるのが分かったんですよ」
──昔のアングラサイトと言ったら黒に赤が定番だったのが、いつ頃その形に?
「リニューアルしたのは今年の初めくらいですかね」
──今年で20年?
「今年の11月で20年ですね」
──探偵業は協力してる人の繋がりでそういうのを作ろうと思ったのか?
「元々はそうですね、もう15年はやってますよ」
──老舗だね
「そうですね、昔はそんなうるさくなかったんで。届け出自体は10年ぐらいだと思いますけど」