「なお、この装置の本体部は、半可搬式速度違反自動取締装置にも活用できます。
この装置の概要等を紹介しますので、今後の参考としてください。」
2016年4~6月、警察庁は埼玉県と岐阜県で、新型オービス3種を用いて「モデル事業」をやった。
その3種のうち1種が、東京航空計器の「半可搬式」だった。
半可搬式は、本体部は小さいのに台座部分がやたら大きく、総重量約500kg。あれでは使いにくい、いずれ本体部を三脚に載せるんじゃないか、と俺は予想した。
そうしたら、予想どおりのものがLSM-300 として現れたのである(笑)。
愛知県警はこれを「生活道路」とくに「子どもたちの通学路を中心に」運用するという。
当サイトの「【スクープ】オービスがついに一般道に配置され"赤切符の制約"から解き放たれる証拠公開! そしてその裏にある真の意味」で述べたように、新しい「どこでもオービス」は、いずれ青切符の違反も取り締まるようになる。
https://r-zone.me/2016/10/post-1839_3.html(記事リンク)
最近、通学路の小学生たちが交通事故の被害者、犠牲者になる事故が続発している。
世間は必ずこういう論調になるだろう。
「新型オービス、けっこうじゃないか。どんどん取り締まれ!」
だが、申し訳ないけどそれは愚かな考えだと言わざるを得ない。
・認知症でまともな運転ができなかった。
・同乗者との話に夢中になり、前をよく見ていなかった。
・運転しながらポケモンGOをやった。
・カーラジオの操作に気を取られた。
・自己顕示欲からドリフト走行をやり失敗した。
いろんな理由で車は進路をそれる。
それた先に通学の小学生たちがいれば、重大事故になるのである。
防ぐためにはどうすればいいか。
通学路にしっかり柵を設けて車両を侵入させないのが手っ取り早い。
地域の交通事情などでそれができないなら、頑丈なガードレールを設置して小学生たちを車から守るしかない。
車の速度を落とすために最も効果的なのは、新型のオービスを導入することではなく、ハンプ(カマボコ状の盛り上がり)を設けることだ。
ところが世間は、「加害者を厳罰にしろ!」「通学路の違反を厳しく取り締まれ!」という方向へばかりいく。
車両が侵入できてガードレールのない通学路は全国にいくらでもある。
これからも、いろんな理由で車は進路をそれ、通学の小学生たちに襲いかかり続けるだろう。俺は悔しくてならない!
(取材/文=今井亮一)
※全ての写真はイメージです
今井亮一 プロフィール
いまいりょういち●交通ジャーナリスト/マンガ原作者/作家。著書は『交通違反ウォーズ!』(小学館)、『なんでこれが交通違反なの!? 警察は教えない126の基礎知識』(草思社)、『裁判中毒 傍聴歴25年の驚愕秘録』(角川書店)など多数。
ブログ「今井亮一の交通違反バカ一代」http://ko-tu-ihan.cocolog-nifty.com/
メールマガジン「裁判傍聴バカ一代」http://www.mag2.com/m/0001035825.html