>  > 【職質のリアル】なぜ覚せい剤事件で、車の運転者に対する職務質問はいつも"尾灯等切れ"で始まるの?
裁判傍聴バカ一代・今井亮一が行く!

【職質のリアル】なぜ覚せい剤事件で、車の運転者に対する職務質問はいつも"尾灯等切れ"で始まるの?

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(撮影=今井亮一)



 警察官は、「尿検査」と「車内検索」を任意で求めた。

 被告人は断った。
 
 だが、こうなったらもう、何がなんでも警察官は逃がさない。

 応援を呼び、被告人が任意で応じなければ、裁判所から令状を取る手配をし、令状が到着するまで何時間でも事実上拘束する。

 停止から約40分後、被告人は「俺はもう帰る」と言い、警察官たちが車のドアを開けたままの状態で、右にハンドルを切って発進。

 その際、ドアをつかんでいた警察官が転倒、「全治まで約1週間」の挫創などの傷害を負った。

 それが「公務執行妨害、傷害」とされ、逮捕されたのだ。
 
 覚せい剤はどうなったのか。判決言渡しの途中で俺は出ちゃったので、分からない。

 分からないけれども、本件は事件名に「覚せい剤取締法違反」がない。覚せい剤の使用も所持もなかったのだろう。

 判決の主文は、あとで阿曽山大噴火さんから聞いた。懲役1年、未決100日算入だったそうだ。
 
 とにかく裁判官はこう述べていた。
 
裁判官 「停止を求めた行為に違法な点はない...職務質問は相当であり...」
 

 主に覚せい剤の事件で、車の運転者に対する職務質問は、いつも「尾灯等切れ」で始まる。本当に切れていたのか、問題にされない。そんな裁判を俺はたくさん傍聴してきた。
 


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「クローズアップ実務1 職務質問」(2007/立花書房)



 俺は長年運転してきたが、尾灯等が切れてる車(普通乗用車)は滅多に見かけない。
 覚せい剤をやってる者、過去にやった者、また停止後に公務執行妨害をやらかすことになる者だけが、いつも尾灯等が切れた車に乗ってる?

 おかしいでしょ。尾灯等切れは、どう考えてもウソとしか思えない。

 みんな同じウソを言うってことは、そのウソで職質をかけろと上から指導されてるんだろうなぁ、俺は傍聴席でそう思い続けてきた。
 
 そしたら、冒頭のツイートで『クローズアップ実務1 職務質問』のその部分を知ったのである。

 「うわぉ、やっぱり!」と笑ってしまったのはそういう次第だ。