>  > 話題の本を読む 加茂田重政著『烈侠 山口組 史上最大の抗争と激動の半生』
ヘイトスピーチハンター山口祐二郎のひとりごと

話題の本を読む 加茂田重政著『烈侠 山口組 史上最大の抗争と激動の半生』

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手榴弾を懐に忍ばせて......


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 第四章では、山一抗争と加茂田組について詳しく記されている。加茂田重政氏は竹中正久氏に元々が疑問を抱いており山口組四代目組長になることに納得していなかったこと、田岡一雄氏の遺言が残っていなかったこと、手榴弾を所持した山本広氏から死ぬ覚悟で一和会参加を頼まれていたことなど、加茂田重政氏の人情味溢れるエピソードが書かれている。

 そして、ヤクザが踏み越えてはいけない一線の話もある。山一抗争では手打ちが中々果たされず、報復の連鎖が続き多くの死者が出ている。使う武器も、ロケットランチャーやら機関銃にまでなっていたという。さらに一般人まで巻き込んで被害を出してしまっているのだ。また、警官にも撃ってしまっている。加茂田重政氏はその点を厳しく見つめている。山一抗争を振り返り、「わしに責められるべき非があるとすればね、やはり早期の段階で収集せんで喧嘩したことやないかな」と語る。

 六代目山口組と神戸山口組の抗争はどうなるのか。現在は警察の取り締まり強化から、ヤクザの代名詞でもある飛び道具(拳銃)を使う激しい攻撃は稀だ。使用者責任が組長にいかないよう、拳銃以外で攻撃をおこなっていることがほとんどだ。これでは敵対組織を壊滅させるのは困難であるし、仲裁できる器の人間も非常に少ないだろう。抗争終焉が見えない理由である。

 どうか長期化せず、これ以上の膨大な被害を出す前に早期の段階で終結することを願ってやまない。

 

三代目山口組と高倉健、菅原文太、松平健


 第六章では、加茂田重政氏と芸能界の繋がりについて様々な写真と共に記されている。神戸芸能社を持っていた山口組三代目組長、田岡一雄氏の直系である加茂田重政氏は芸能人と密接に交際をしていた。田岡一雄組長といえば、昭和の大スターの美空ひばり氏との関係が有名だ。美空ひばり氏は、神戸での興行に絶大な影響力を持つ田岡一雄組長に気に入られ、歌謡界の女王となっていったのだ。

 昨今では、ヤクザと交際をしていたことが問題視され芸能界を引退した島田紳助氏の例などもあり、ヤクザと芸能人の交際が表に出ることはまずない。しかしながら、かつては一大ブームとなった東映のヤクザ映画などをはじめ、あらゆる場面でヤクザと芸能界は関わっていた。仕事での付き合いは勿論、同じ人間同士である。共に華やかな業界で人生を懸けて生きる者としても交際するようになっていったのだ。

 高倉健氏、菅原文太氏、松平健氏、赤井英和氏、明石家さんま氏、紳助・竜介氏、勝新太郎氏、細川たかし氏、梅宮辰夫氏、鶴田浩二氏、錦野旦氏、相撲の花田家、ジャニーズなどとのエピソードが語られている。いくつか写真も掲載されていて、当時のヤクザと芸能人の関係を知るためには必読の書であろう。

 このようなヤクザと芸能人の交際は、現在はできないだろう。読んでいて、なぜヤクザと付き合ってはいけないのか、逆に今の時代状況の不自然さを感じた。こういった点からしても暴対法、暴排条例はとんでもない悪法だ。私は決してヤクザ擁護をするわけではなく、法律を破ったら等しく裁けばいいと思う。現に、ヤクザではない悪党共が、暴対法、暴排条例に引っかからないため、悪さをやりたい放題ではないか。芸能界もヤクザが関わり、スムーズに回していた。暴対法、暴排条例は何のためにあるのか。

 昭和には紛れもなくはっきりと存在した、ヤクザと芸能界の関係。それが崩れていく寂しさを感じるのは私だけだろうか。