暴力で国を統治しようとする大統領
そんななかドゥテルテ大統領自身も、7月15日ダバオでフィリピン中部の大都市セブを本拠地とする麻薬王と目される実業家、ピーター・リムとの会談に臨んだ。
そしてドゥテルテはリムに会うや面と向かって恫喝した。
「お前を処刑する。お前を殺してやる」
そう、ドゥテルテ大統領はアウトローなのである。
彼は共産ゲリラ、新人民軍(NPA)の指導部である非合法組織・フィリピン共産党(CPP)との対話も呼び掛けているが、リムとの会談とは趣旨が異なる。
実にドゥテルテ大統領は新人民軍(NPA)のジョマ・シソン議長にかつて師事した経歴を持つ紛れもないシンパであり、米国務省の指定テロ組織であるCPPとの和解を米国抜きで独断せんと模索しているのだ。
いずれにしろ彼の麻薬犯罪撲滅に懸ける熱量は異様なものがあるのだ。
当然のことながら、バギオのギャングは俄然ドゥテルテ大統領への敵意をあらわにした。
そんな中、筆者は彼らとの接触に成功し、7月某日、市内の廃工場をスクワッドしたアジトにおけるパーティーの取材を許可された。
そのパーティーの目的は、麻薬犯罪に対する理不尽な強権発動に対する彼らの意志を明らかにするためであった。ドゥテルテが憎悪する〝アイス〟で気勢を上げ、彼の宣戦布告に応えようというわけである。
まずは、そのパーティーの様子を軽くご覧いただきたい。