>  > 元四次団体組長・張恭市の「喜多方の帝王、刑務所時代をまたまた振り返る」
ヤバすぎるアンダーグラウンドエッセイ from 東北

元四次団体組長・張恭市の「喜多方の帝王、刑務所時代をまたまた振り返る」

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写真はイメージです


 それは、番組の改編期等に各テレビ局で放送される『警察24時』で、普段はテレビ視聴中でもテレビに関心はなく、雑誌を読んだり手紙を書いたりしている者たちでも、『警察24時』が放送される時は黙ってテレビに釘付けになっていた。

 傷害で現行犯逮捕のシーンを見ながら、「こいつ、こんなつまんねぇことで逮捕(パク)られて、本当バカだよな(笑)」と爆笑している同囚を見て、「そー言ってるお前は今、どこにいるんだよ?」と心のなかでツッコミをいれてやった(笑)。

 暴力団事務所に警察のガサ入れが入るシーンでは、現役のヤクザ者たちの表情が一気に強ばる。

「うちの事務所にも入ったりしてないやろな?」と心配したり、「俺もガサ入れでそのままガラ持っていかれました(笑)」と逮捕された時の事を思い出し、笑い話にしていた者もいた。

 さらに覚せい剤逮捕のシーンでは、パケに入った結晶のままのガンコロが写し出された瞬間、テレビの前の懲役たちのほとんどが一斉に目を輝かせて、歓喜の声をあげていた

「うっひょーっ! たまんねー!」

 刑務所に収容されている者の80%以上は覚せい剤で逮捕されてきた者で、再犯刑務所に関しては過半数をシャブ中が占めていると言われるほど、我が国の覚せい剤の使用者は多いようで、テレビにパケに入った覚せい剤が映るたび、生唾を飲みながら見ている者も少なくなかった。

 中には、テレビを観ながら自分の筆箱の中からシャープペンを取り出し、何をするのかと思えば、服の袖をまくり上げ、手に持ったシャープペンを注射器のように見立て、自分の腕に射してバーチャルな覚せい剤を楽しむ者もいて、過去に一度も覚せい剤に手を出した事のない私には理解しがたい光景だった。

『覚醒剤やめますか? それとも人間やめますか?』まさにその言葉が当てはまると、その恐ろしい光景を見ながら思った。

 ──っていうか刑務所側も、懲役達に『警察24時』なんてもん見せて、どうしたかったんだろうと今、改めて思ったら笑えてきた(笑)。

 唯一の娯楽、テレビなんだから、つらく苦しい塀の中で視聴させるならば、もうちょっと感動したり、更正させられるような番組を見せてあげましょ?




張 恭市
ちょう きょういち 元、某広域暴力団の三次団体幹部。四次団体組長。前科6犯。20代半ばから30代半ばの大半を、塀の中で過ごす。韓国人の父親、日本人の母親を持つハーフ。7年前に約20年所属していた組織から足を洗い、今は地元で数々の経営に携わり、東日本大震災後、復興支援のチャリティーイベント主催者、ボランティア活動、芸能界とのパイプを利用し、復興ライヴ興行等、幅広く活躍している。