>  > 【緊急寄稿】障がい者施設で働く介護従事者が語る、"相模原やまゆり園殺傷事件"からみえる日本の闇

【緊急寄稿】障がい者施設で働く介護従事者が語る、"相模原やまゆり園殺傷事件"からみえる日本の闇

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「重度障がい者1人にかかる税金は...」

 インタビューでは「障がい者であっても愛する家族。仕方なく施設へ、しかも信頼して預けておいたのに、こんな目にあって...」と涙する家族が映し出される。

 思わず、苦笑してしまう。

 確かに、本当に愛情を感じながらも、やむを得ず別々に暮らしている家族もいるだろう。しかし実情は、家族から見放されて入居している方のほうが圧倒的に多い。


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やまゆり園入り口には献花台が設けられ、訪れる人々には無念の表情もみられるが・・・

 当然、障がい者の家族にも生活がある。重度障害者が自宅にいては生活が成り立たないという事情は、当人達の責任だけではない。日本の社会施策がそういう方向性で動いてきたのだから。

 それでも、入居者の家族をみていると、"面会に来る頻度""施設での生活の様子を気にかける様子"などから「あぁ...この家族も、足手まといになる障がい者を預けてせいせいしているのか...」と感じることがほとんどなのが実情だ。

施設によって利用料金は様々だが、ものすごく簡単にまとめてみると、自分で自分のことは何もできないため、全部職員に介助してもらって生活しなければならない重度障がい者一人が、施設で生きていくために払われている税金は、一日約10,000円、一ヶ月約300,000円。同様の障がい者が10人居たとして、一ヶ月生活するために必要な税金が3百万円。一年では3千6百万円。10年で3億6千万円。(「やまゆり園」に現在入居していたのは157人と公表されている)。

 ただし、これは額面上の数字だけなので、障がい者を施設へ入居させるために、諸手続きや会議を重ねる市町村の職員やその他の人件費を合わせれば一体どのくらいかかるのか、机上では計算することも出来ない。

 勘違いしないで欲しいが、言いたいのは、障がい者にそれだけの費用をかけることが悪いというのではなく、それだけの税金を投じてもらいながら、他の家族は自分達の暮らしを自由におくっているというのが現状だということ。

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 しかも、消費税10%導入を先送りすることにより、増える税収入をあてに社会保障制度を組みたて直そうと考えていた厚労省のお役人達は真っ青だろう。それでも、制度を維持する事を考えるのが彼らの役割のため、全体的に、福祉サービスを受けなければ生活できない生活弱者への税金投入を減らさなければならないことは目に見えている。

 そうしないと、働く職員の処遇低下に拍車をかけることとなり、よりサービスの質の低下を招く。結果、不正なことを行う事業者が増えていき、福祉施設入居者が人権的に守られることが少なくなり、今年2月に起きた有料老人ホームでの転落殺人のような事件の発生が増えていく。


「川崎老人ホーム転落死 元職員を殺人容疑で逮捕」(産経ニュース2016.2.16より引用)
川崎市の介護付き有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で入所者3人が平成26年に相次いで転落死した事件で、神奈川県警は殺人容疑で元職員、今井隼人容疑者(23)=横浜市神奈川区立町=を逮捕した。逮捕容疑は平成26年11月3日夜から4日未明、87歳の男性入所者を4階ベランダから投げ落とし、殺害したとしている。