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ヤバすぎるアンダーグラウンドエッセイ from 東北

元四次団体組長・張恭市の「喜多方の帝王、刑務所を行く」

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とある大手暴力団(日本でいちばん有名なあそこですね)からスッパリと足を洗い、現在は被災地復興のため日々汗を流す「喜多方の帝王」こと張 恭市。そんな福島在住の張が被災地の現況から刑務所の実態まで、ヤバすぎるリアルな話を大いに語り尽くします!


刑務所の中の密かな楽しみとは!?


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写真はイメージです


 刑務所の中で娯楽と言うものは限られている。懲らしめる目的である懲役に、娯楽なんてあるわけがない。

 刑務所の中で悠々自適に過ごしているなんて世間の人が思ったら、それこそ被害者感情に火がついて、「仮釈放なんてあたえるな! もっと辛い思いをさせろ!」となりかねない。

 その中でも少しは懲役にも娯楽があり、僅かな時間のテレビの視聴とラジオの許可。舎房に備え付けられてある囲碁将棋。そして、自弁(=自分で費用を負担して買った品物)、差し入れで読める週刊紙や雑誌等の閲読。

 たまに慰問として、売れない芸能人のショーや、近所のおじさんおばさん連中の集まりで行われるボランティア活動の見せ物が来るぐらいで、あとは単調な毎日が出所まで続く。

 そんななか、塀の中でもイタズラっ子であり、舎房ではいつも司令塔となる俺が暇潰しに毎夜遊べるゲームをあみだした。

 それが『山手線ゲーム』だ。

 このゲームは娑婆でも普通に行われているゲームだ。例えば「山手線の駅の名前」というお題であれば、リズムに合わせて駅の名前を他の人と被ることなく答えていき、リズムに乗れなかったり答えられなかった場合に敗けとなるシンプルなゲームなんだけれど、娯楽のない懲役にとってはなかなか刺激的なゲームでもあった。

 もちろん、勝ち負けを決めるので、敗けた人間にはペナルティが課せられている。

 塀の中では、『ちり紙』がとても貴重で、一ヶ月に250枚と使用する枚数が制限されている。

 もし仮に、一ヶ月以内に250枚を使いきってしまった場合は、トイレに行っても拭くものがなく、手で拭くしか方法がないのだ。

 工場に新しく配属された懲役の中で、現役のヤクザがいた場合は、各組織の代表からお祝いとしてちり紙が贈られるほど、塀の中では貴重な品物だった。

 そんな貴重なちり紙を、『山手線ゲーム』の優勝者が勝ち取るように俺が強引に設定。

 その日の晩から、俺のいる舎房ではゲーム合戦が静かに繰り広げられていた。

 何故、盛り上がっているのに静かかというと、物を賭けてゲームをしていたことが刑務官にバレたら、その時点で舎房の懲役全員取り調べとなり、連行となるからだ。

 バレないように刑務官の目を盗みながら、俺達は白熱のバトルを繰り広げていた。