「時計タダであげるけど要る?」
町をよく見まわしてみると、路上での犯罪行為はわりと多い。
売春、覚せい剤の受け渡し、ケンカ、殺人・・・。
そんな危険極まりない路上犯罪の中で最近ホットなのが「路上で因縁つける車」だ!
「おい、こら道譲れ!」とか「もっとスピード出せコラァ」とかではなく、路上で因縁をつけてくる車は因縁相手から金を巻き上げることを目的としている。
その手口はこうだ。
まず、歩行者に、低速で近付いて来る。そして、まるで道でも尋ねるかのような感じで、歩行者のそばに停車して車の窓を開ける。その車の存在に気が付いた歩行者が立ち止まると、間髪入れずに、車の助手席にいる男が、腕時計を歩行者に見せて「これ、タダであげるよ」と差し出すのである。
もちろん、歩行者は困惑する。
路上で今初めて会った人から、いくらタダだからと言われても物をもらう理由はない。
歩行者と助手席の男との間でしばらく押し問答が続き、結局、その押し問答が面倒であるというわけで、タダを理由に腕時計を歩行者がもらった瞬間、助手席の男が
「腕時計はタダだが、腕時計を運んだガソリン代ぐらい払えよ」
とくるのである!
レベル的にはまるで中学生のカツアゲだ。
だが、オレオレ詐欺だって最初は誰もが中学生の詐欺レベルだと思っただろう。しかし、被害者と被害額は年々増加し、過去累計被害総額はゆうに100億円以上にもなっているのである。
軽く見てると、さらに悪質化するケースもゆうに考えられるのだ。
さらに細かく手口をみてみよう。