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こうして怪談は生まれる!『怪談現場』著者、吉田悠軌氏が語る

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本当にあった怖い話

──この夏2冊も怪談書籍を出版されるということですが、発売間近の『怪談現場』は東京中心のエピソードだと聞いています

吉田 はい、今回は東京を中心に、キーワードとしては「水」を採用して、怪談の現場を読み解いていきます。

現代怪談の場合は体験者へ取材したもの、昔の怪談なら文献で調べたものです。その文献も創作話ではなくて、『耳嚢』という江戸時代の実話怪談集などだったり、あとは昔の人の日記だったりと、取り上げている話は全て、ある程度ドキュメンタリー性のある資料に基づいてます。

23区の怖い話をそれぞれ1区ごと、1話~3話ほど紹介して、その後で、なぜそんな怪談が生まれたのかを検証しています。

──どの様に検証されているのですか

吉田 怪談が生まれるにいたった事実関係と、土地の歴史、そしてかつてあった『水の記憶』を掛けあわせて検証してます。


怪談の源泉『水の記憶』

──『水の記憶』とはどのようなものなのでしょうか?

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渋谷スクランブル交差点

吉田 私のいう『水の記憶』というのは、一つにはある場所がかつて水場であったという事実。もう一つは、それを人々は無意識に感じとっているという現象です。例えば渋谷周辺に目を向けると、若い人たちはかつて渋谷川という川が流れていたとは知らないです。スクランブル交差点とかでも、宇田川とか渋谷川が注いできた谷底だという事実は知らないけども、なんとなく水の場所だったということを感じとってしまうんです。

だから、やっぱり渋谷のスクランブル交差点にも怪談がいっぱいあります。

──たしか、交差点を渡っていると幽霊じゃないかと思われる人物が歩いていて...

吉田 無視しようとしたら、すれ違いざまに「見えてんだろう」といわれたとか。他にはコインロッカーベイビーのような、ロッカーに捨てられた子供が幽霊になって出てくる話等があります。

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JR渋谷駅のコインロッカー

──ですが見えない水の在り処が分かるというのは、動物的といいますか本能的ですね

吉田 ただそれは非科学的なものではなくて、例えばチョット曲がりくねっている道路とか。人が作るなら直線で作りますよね。他には車が通れない遊歩道だったりとか、マンホールが多いとか、家の玄関がその通りに面していないだとか、むかしからの銭湯があるとか、これは川から取水・排水が出来るように建てているからなのですが。ヒントは沢山あるんです。

──なるほど地理的な条件を読み取っているんですね

吉田 そういった要素が絡んで、かつて水があったんじゃないかな、溜まっていたとこじゃないかな、というのを言語化して意識はしないでしょうけども、感じとっているのだと思います。

──こういう感覚は正しいものなのですか

吉田 私は何年か前から意識して暗渠を探しています。道を歩いていて、ココ絶対川だろうと思うと、古地図アプリで調べるのですが、殆どの場合正解でした。結構わかるものなんです。

──人の感覚も馬鹿にできないものですね

吉田 ええ、僕は暗渠も好きなので、怪談と両方を組み合わせて調べていたのですが、これは絶対に関係があると。直感として、怪談と水場は絶対に関係があるなと思いました。いまも流れている川というよりも、隠されてしまった水場にこそ怪談が生まれるのではないか、と。

──深夜に水音を聞くと発生源を探すようなものですか

吉田 多摩川みたいにバーっと流れていれば気にならないですよね。

──はい、川があるで納得しちゃいます

吉田 だから、『水の記憶』なんです。アルはずなのにナイ、その違和感が溜って、歪んでしまい噴出したのが怪談かもしれないです。