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東京ピカレスク~闇社会に君臨するピカロ(悪漢)~ 第14回

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新たなる仕事


わが鈴彰グループは、サラ金業者などが利用する正規の信用調査機関は使わない。
鈴彰グループ内で貸し付けている、独自の信用調査部が歌舞伎町の本部事務所に設けられている。
そこを統括管理するのが、鈴彰の懐刀である五十嵐洋二総責任者なのだ。

ここから回ってくるデータは、本当に良質で当たりがいい。
根気強く、頻繁(ひんぱん)に電話でのアポを徹底すれば、かなりの確率で貸し付けすることができた。

のちにオレは鈴彰グループから独立してデーター屋を開業することになるのだが、それは自身の深層心理に鈴彰グループで学んだ、『データの重要性』が染みついていたからに違いない。

それから1週間が過ぎた。

オレが貸し付けを決めた、尾田印刷の尾田栄二(おだえいじ)社長、河山写真店の河山恵六(かわやまけいろく)店主、大嶋運送店の大嶋太(おじまふとし)代表らが、2日後にガン首そろえて契約にきた。

各自、必要書類を持って、まるでワラにもすがるような面持ちで契約に臨んだ。

「おめでとう、三井くん。1日で3軒の貸し付けね。この調子でがんばれば、今月の総会で表彰されるかもね。賞金もでるから、ごちそうしてね」
菜摘は、いつものドスの利いた声でいった。

「はい、ありがとうございます。ぜひ、ごちそうさせてください。これも、ひとえに榎本先輩のおかげですから」
「そんなことないわよ、三井くんの努力の成果よ」

確かに過去、オレは仕事で必要以上の努力をしたことはなかった。
だが、今は積極的に仕事に向かってがんばり、毎日が楽しくてたのしくて仕方がないのだ。

鈴彰グループに入ったおかげで、日々の生活に充実を感じることができるようになっていた。
オレは満足げに菜摘を見た。

(やっぱ、かわいいな)
菜摘も、オレをジ~ッと見ている。

妙な雰囲気になりそうなとき、突然ドアが開いた。

「おい、誰か手が空いてるヤツいるか!」
事務所にあわただしく入ってきたのは、五十嵐総責任者だった。

「は、はい。自分が空いてますが......」
オレは思わず手をあげた。

「おう、三井か!じゃあ、すぐにオレの指示した場所にいってくれ!今回は気を引きしめていかないと、大変なことになるぞ!」
五十嵐は、キンキン声で叫んだ。


(なんか、ヤバい仕事みたいだな)


オレの全身に、鋭い緊張感が走った。

tokyopica14-2.jpg

-to be continued-   

※写真はイメージです