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難波ウルフの「裏街道実況中継」

関東ヤクザが見た「六代目山口組と神戸山口組」

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「この抗争は長引く」という見方だけは全員一致


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写真はイメージです

  六代目山口組と神戸山口組が抗争状態に入ったとされている。日本最大の暴力団の抗争といっても過言ではない状況となった。これに対して、他組織(別代紋のヤクザ団体)はどう受け止めているだろうか。もちろん、カタギである筆者が暴力団社会のことに首をつっこむ必要はない。しかし、事務所が近くにあったり、友人・知人がいたりと、完全無視できないのがリアルなところである。

 まず言えることは、どの他組織も、「今回の抗争が早期終結する」とは見ていないというところ。昔よりもはるかに法律が厳しく、抗争終結を決める決定打的攻撃が両者ともしづらくなっている、ということが、その最大の理由である。

 抗争で相手を殺せば、死刑か無期懲役である。ヤクザのくせに懲役が怖いのか?と思われるかもしれないが、現実問題として、これは組の崩壊も意味する。「暴力団の組なんかなくなってしまっても構わない」と言ってしまえばそれまでだが、これまた現実問題として、組がなくなれば、また別の組がのさばるだけでしかない。もしくは、知能犯化した地下組織が編成されて、諸外国のような徹底悪が町に根付くだけである。人間社会というものは、そもそも法律で万事解決するほど単純で簡単なものではない。いつまで経っても犯罪がなくならないのがいい例である。

 要するに他組織としては、六代目山口組と神戸山口組の抗争は、「簡単には終結しないだろう」というのが大方の見方である。

 また、六代目山口組と神戸山口組という当事者同士にも、この抗争を早期終結させる気があまりないように見受けられる。それは「ヤクザやったら敵がいて当たり前や」という概念による。確かにその通りである。みんな仲良しというわけにはいかないし、一般企業でさえも商売敵は必ずいるものだ。そんなわけで、六代目山口組と神戸山口組は「このままの状態で組織を維持」していく可能性が非常に高い。

 そして今、暴力団業界でもっとも新たな動きは、六代目山口組と神戸山口組を見比べて、どちらを山口組と見なすか、という判断を他組織が下しつつある、ということである。

 他組織にしてみれば、六代目山口組も神戸山口組も、はじめはどちらも山口組だった。具体的にいえば、自分とつきあいのある山口組の人間を、六代目山口組に残留しようが神戸山口組に移籍しようが、「山口組の人間」として付き合ってきた。山口組が分裂したからといって、急に付き合い方を変えるようなことはなかった(ごく一部に例外はあるが)。だが正直なところ、神戸山口組の人間と付き合えば、自然と六代目山口組とは疎遠になる。その逆もしかりである。そんなわけで、山口組分裂当初は、どちらも山口組であり、両者とこれまで通りの付き合いをしていた他組織も、分裂から半年も過ぎると、自然と「どちらかとだけ」の付き合いとなってきてしまったのである。

 新たな動きはもうひとつある。新しい「頼み事の図式」みたいなものができあがりつつあるのだ。それは──
 
六代目山口組がいろいろ頼む → 他組織
他組織がいろいろ頼む → 神戸山口組

 という図式なのだが、これだけではわからないと思うので、もう少しだけ説明を付け加えよう。

 これまで、特別なケースを除いて、日本最大の暴力団である山口組が腰低く他組織に何かを頼むことはあまりなかった。が、現在は、六代目山口組系列の組員たちがシノギやメンツの保持、正統性の主張などのために他組織にお願い事をする機会が増えてきている。一方、神戸山口組にはあまりそういった動きはない。つまり、他組織からいわせれば、六代目山口組よりも「神戸山口組のほうが山口組」っぽいのである。

 とはいえ、六代目山口組も神戸山口組も両方とも山口組である。警察は今でも「山口組は2つある」としているし、関東を本拠地とする老舗暴力団組織も「山口組は2つある」という考え方を現在も持っていると言われている。が、個々の末端組員や三次団体、四次団体のレベルでは、これまでと同様の「山口組とのお付き合い」にあてはまるのは神戸山口組であって、六代目山口組に対しては、これまでの山口組とは違う、別の付き合い方をするべきなのではという考え方が生まれてきている。名称こそはまぎれもなく六代目山口組であるが、実のところは、山口組という名の弘道会だということが浮き彫りになってきている、といえば分かりやすいだろうか。


(取材/文 難波ウルフ)

 
難波ウルフ
大阪府出身。大学卒業後、週刊誌記者を経てフリーライターに。実話誌や週刊誌などで執筆し、芸能界のタブーから暴力団事情まで、幅広い執筆活動をおこなう。