騙す奴がいるから、騙される奴がいる......それが世の中というものなのか。現在、40代半ばで無職のA子さんは20数年前にホテルマンを目指し、専門学校卒業後に就職した会社に騙された女性だ。いったい、どのような手口でヒドイ目に遭ったのだろうか?
憧れのホテルマンになったはずが......
──旅行関係の専門学校に通われていたのですか?
「はい、当時はツアコンとかが人気のある職業で。わたしは、あるドラマの影響でホテルのフロントに憧れて、その勉強をしていたんです。でも、あの業界は当時、コネクションがモノをいう世界で、名のあるホテルはどこも入り込む余地が無かったんです」
──その結果、最終的には?
「学校に来ていた求人はすべて落ちまして(苦笑)。そこで普通の求人誌とかをチェックしていたら、某地方都市で新規にオープンするホテルの求人を見つけまして。応募して面接となったのですが、その面接場所が会社とかではなく、喫茶店で......」
──喫茶店?就職の面接なのに?
「まだ、事務所やホテルができていないってことで......。そこでオープニングスタッフが足りないからって、即刻採用になったのですが、そのためには契約書に捺印しなくてはいけなかったんですけど、厚さが3センチもあって......」

就職が決まったと思って喜んだのもつかの間※写真はイメージ
──もちろん、その場では全部読めませんよね?
「ええ。その面接していた方も急いでいたようですし、ちゃんとしたホテルだから、それだけコンプライアンスとかが厳しいし(契約書が)厚くなるのかなと......そう思っていました。でも、まさか、"あんなこと"を認める内容だとは思わなかったので......」
──分厚い契約書にサインしてホテルに向かったと
「ホテルが完成したのは契約から1カ月後のことで、呼ばれるままに行きました。寮があるということだったのですが、そちらはまだ完成していなくて、それまではホテルの部屋に寝泊まりだから、とりあえず着替えだけ持ってこいとの指示で、そのような支度で現地に行きました」
──どんなホテルだったんですか?
「簡素なビジネスホテルという感じで、オープン前だったので薄暗かったんです。ただ、受付は一流ホテルのように広々としたものではなく、ラブホテルみたいにお互いの顔が見えないものだったりして......。そうこうしているうちに。面接された人が出てきたんですけど、明らかに面接時と表情が違うんです。なんだかチンピラっぽいっていうか」
──「ちょっと機嫌が悪いのかな?」みたいな?
「そうです、そうです。そうしたら、寮代わりの部屋に案内されたんですけど、3畳程度の窓も無い物置みたいなところで、"え?"みたいな。でも、背中を蹴られて押し込まれて外から鍵を掛けられたんです。それで、"きっちり働けよ!"って捨て台詞を言われ......」