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【薬物問題】「ある液体」で逮捕者続出の裏事情

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どうでもいい規制は日本の恥


 ラッシュを規制しなければいけない婉曲的な理由は、強いて言えばゲートウェイ理論だ。ドラッグにおける「ゲートウェイ理論」とは、大麻などのソフトドラッグが、さらに強いドラッグの入り口となるから規制すべきという考え方である。
 ただ、この理論、規制を強化したい側が主張しているだけで、とくに学問的に実証されているわけではない。そもそもアメリカで大麻に危険性がないことが解明されたために、それでも大麻を規制しようとしてひねり出された話だとされている。そのアメリカをはじめ世界が大麻容認の方向に向かっているのは皮肉なことだ。

 しかし、日本における規制はこのような胡乱な説さえも関係ないのかもしれない。なんとなく危なそうな物はなんでも規制しろという十把一絡げなものにすぎないのではないか。しばしば日本は原則禁止で例外的に自由を認める社会だと言われる。このようなあり方が果たして幸せなのだろうか。原則自由で例外的に規制を認める社会であるべきではないのか。

 ラッシュによる逮捕事件は、じつは根本的な社会のあり方まで問われる性質のものだと思われる。欧米やアジアの多くの国で普通に売られているラッシュを規制することに意味はあるのか。また先述のように大麻解禁の流れがある中で日本はどう対応するのかという問題にもつながってくるだろう。東京オリンピックでは、世界中のゲイが二丁目観光にやってくるだろうが、うっかりラッシュを持ち込む者も少なくないだろう。そういったケースへの対応をどうするのか。

 それで思い出したことがある。深夜のダンスが禁止されていたほんの数年前、ヨーロッパから来た友人を二丁目のクラブに案内した。12時を過ぎて踊っていると店員に注意されたのである。店員に咎められたその友人は「なあ、ここは日本だよな? 踊っちゃいけないって!? 俺は間違って北朝鮮に来ちゃったんじゃないのか!?」と目を丸くしていた。
 
 それよりなにより、言ってしまえば、あってもなくてもいいような下らない規制によって逮捕者を出すことで、NHKのアナウンサーや教師、看護師といった真面目な社会人の将来を狂わせるようなやり方は間違っているのではないだろうか。

 セックスやドラッグについての話題というと日本では頭から卑下されがちであり、特にラッシュの場合にはフォビア(嫌悪感)と結びついたゲイへの揶揄が飛び交うが、じつは誰もがもっと真剣に考えるべき問題がここにはあるように思う。


(文=宇田川しい)

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麻薬取締部では「原料とみられる粉末や液体のほか、製造に使ったとみられるガラス瓶などの器具を押収、入手経路について調査中」とのことだが、「製造」しちゃったところが怒らせちゃったんですかね?!。(画像出典:netatyou.jp)


宇田川しい プロフィール
ゲイライター。コーヒーライター。元アル中で、断酒後、コーヒーにハマる。LGBT関連では本サイトの他、ハフィントンポスト日本版でけっこうカタい記事も担当。現在、ゲイについての単行本も執筆中。年齢非公表。ウケよりリバ♡ Twitter:@siiudagawa