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【薬物問題】「ある液体」で逮捕者続出の裏事情

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ゲイ・カルチャーとしてのラッシュ



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「RUSH」は2006年に薬事法で指定薬物とみなされることとなった。(画像出典:netatyou.jp)


 ラッシュはもともとゲイには馴染み深いセックス・ドラッグだった。

 その主成分は亜硝酸イソブチル。本来は血管拡張効果があり狭心症の薬として使われるもの。液体の入った小瓶に鼻をつけて揮発した気体を吸い込むと、心臓がドキドキして体が熱くなり、頭がボーッとするような独特の酩酊感が数十秒ほど続く。
 
 そもそもは、1970年代にアメリカ西海岸のサーファーが海に入って冷えた体を温める目的で使い始めたとされ、同じ時期、同じ西海岸で隆盛を迎えつつあったゲイ・カルチャーにも浸透した。ゲイがラッシュを歓迎したのはその酩酊感はもちろんだが、筋弛緩作用があるためだった。これにより、肛門括約筋が緩むことで初心者でもアナルセックスが容易になる。80年代以降、世界のゲイたちが使用するようになり、日本でもポルノショップなどで1本1500円程度で売られていた。

 90年代になると合ドラ・ブームの影響のもと、他の合法ドラッグより手軽でソフトなラッシュは日本のゲイの間でほとんど日常的なものとして定着していった。当時、ゲイの家の冷蔵庫を開けると、エッグポケットにラッシュがあるのは見慣れた光景だったのだ(揮発を防ぎ鮮度を保つため冷蔵庫に入れるのだ)。
 
 ことほどさように日本のゲイ・カルチャーに浸透していたラッシュ。そこに暗雲が漂いはじめたのは2004年のこと。東京都が国に先駆けて合法ドラッグの規制を始めると宣言したのだ。翌年には他の合法ドラッグとともにラッシュは知事指定薬物として規制されることになった。ほぼ同時期に厚労省も規制強化を進める。

 そして2006年、日本に流通するラッシュのほとんどを扱っていたと思われる業者が薬事法違反で刑事告発。これによってラッシュは国内から姿を消した。この時の都知事はヘイトとも取れる発言の多いゲイの「宿敵」、石原慎太郎氏であり石原さんへの恨み節は今なお二丁目ではしばしば聞かれるところなのである。