>  > 公開捜査テレビ番組が16歳の少年の逮捕につながったTBSはお手柄か勇み足か
元極道の異色作家・沖田臥竜のニュース解説  「プロ」はニュースはこう読む!

公開捜査テレビ番組が16歳の少年の逮捕につながったTBSはお手柄か勇み足か

この記事のキーワード:
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2月29日夜、TBSで放送されたバラエティ番組『緊急!TV公開大捜査』を見た板橋区の主婦が、「オレオレ詐欺事件の現金受け取り役の映像が息子に似ている」と感じ、問い詰めたところ認めたため、警察に出頭させました。現金受け取り役の少年(16)は容疑を認め、「去年夏ごろ、知らない人に楽に稼げる仕事があるからやってみないかと声をかけられた」と供述しています。


はしゃいでる場合なのか?


okita_news_20160305_01.jpg

TBS『緊急!TV公開大捜査』公式サイト(リンク

 TBSと恵俊彰のドヤ顔が目に浮かぶようである。

 恵俊彰がメインパーソナリティを務めたTBSの特番によって、特殊詐欺の末端中の末端の受け子の少年が逮捕されるに至ったのだ。

 どんなもんだい!と自慢したい恵俊彰の気持ちもよく分かる。

 数年前まで小学生だった少年を逮捕したところで事件の全容解明に向かうことは限りなく困難であるだろうが、そんなことは関係ない。逮捕は逮捕である。

 何10万人もの犯罪者が世の中にはびこる中、TBSと恵俊彰のお陰で一人の少年を逮捕できたのだ。よくよく考えてみれば16歳の少年の素顔を、モザイクも付けずに、夜7時からのゴールデンタイムの地上波で流しているのだが、いつの間にかそこはノーカンになってしまっている。

 結果オーライだから問題なし!ということなのだろう。

71HpUbGiXLL.jpg

『親父の役目 四人目が生まれて思うこと』著/恵俊彰 マガジンハウス刊

 だが、はしゃぐTBSと恵俊彰に対して水を差すようなことを言ってしまっている人もいる。それは、蒲田署の職員さんだ。

「このようなケースで逮捕されるのは珍しい」

 思わず出た本音であろうが、逆に言うと、こんな番組いくらやっても犯罪者の摘発につながることはほとんどない、と言っているに等しい。

 ──って、もういいだろうか。私はずっと皮肉っているのだ

 TBSは7日にも同番組の特番をするというが、犯罪者が逮捕できれば、視聴率を稼げれば、どんなことをしても良いと考えているのか。

 防犯カメラの荒い映像では未成年に見えなかったのかもしれないが、16歳は16歳だ。それを堂々と放送してしまっているのだぞ。逮捕できれば、なにをしても許されるというのか。逮捕できたとはいえ、自重して放送を見合わす、という選択はなかったのだろうか。

 少年法のタブーをブチ破って、少年の素顔をさらしてまで逮捕して、それでオレオレ詐欺業界に対して痛恨の一撃を与えてみせれるのであれば、まだ理解できる部分もなくはない。だが、この少年の逮捕だけで終わってしまえば、それはたんなる話題作りにすぎない。

 少年はこう供述しているという。「知らない人に、楽に稼げる仕事があるからやってみないかと声をかけられた」

「中東系の知らない外国人から買った」とうそぶく、ベテランのシャブ中レベルの供述である。

 まさか警察は、これで幕引きにするつもりではあるまいな。捜査を終了させたりはせんだろうな。

 確かに、逮捕はTBSと恵俊彰の快挙かもしれない。だが、逮捕に至る過程や、逮捕後の全容解明も同じくらい重要だぞ。




沖田臥竜
兵庫県尼崎市出身。日本最大の暴力団組織二次団体の元最高幹部。前科8犯。21歳から29歳までの8年間服役。その出所後わずか半年で逮捕され、30歳から34歳までまた4年間服役と、通算12年間を獄中で過ごす(うち9年間は独居)。現在、本サイトで小説『死に体』を好評連載中。