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俳優志願四十代独身の日雇い日記

パン工場の訳アリ仕事で人間の狂気を見た!

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俳優志望の中年が様々な日雇いバイトを経験。その驚愕の現場をレポートする新シリーズ。今回は某有名企業のパン工場だ!


1月某日(月曜日:曇り)


自分が俳優を志して東北から上京したのは二十数年前のことです。

夢を追って某劇団に入ったものの、芽は出ずに、あるのはエキストラ系の仕事ばかりです。正直なところ、それだけでは生活ができません。だからといって、いつ俳優として声がかかるかわからないのでシフト制のバイトもできません。

それでも生活があるので、日雇いのバイトで生き延びてきました。そんな生活を続けて二十数年が過ぎ、思えば様々な現場を経験してきました。そんな体験を綴っていこうと思います。

日雇いのバイトは現在は基本的に派遣会社に登録していると、さまざまな案件がメールで届きます。その中でも定期的に舞い込むのが某パンメーカーの案件です。本日、それに行きました。

職種には『検品』的な内容が書かれ、食事(パン)支給と書いてありました。食費が浮くのはありがたいと思い、自分は応募しました。なお、日当は8時間勤務で手取りで9,000円ちょっとです。

anpan-1.jpg

パン支給は魅力的だった※写真はイメージ

指定された時間に工場へ行くと、責任者から「とりあえず単発ということですが、もしも、気に入ったら明日も来ていいですよ」と言われ、私は警戒心を強めました。

なぜならば、その言葉の裏には「やれるものならば、やってみろ!」的な意図が見え隠れしていることに気付いたからです。

それでも、純白の作業服を渡されて作業場へ向かいました。私の担当は工場内の方が『へそチェック』と呼んでいるものでした。

作業場所は大きな機械の中から延びるベルトコンベアの前でした。その機械から出てきたのは......"あんパン"でした。次から次へと流れてきます。

「ほら、早くチェックして!」

その声に我に返りました。しかし、何をチェックするのか皆目見当がつきません。

「だから、"へそ"だって!」

その工場で一番偉いと思われる方にドヤされました。もう一人、私と同じ職種の方がいたので見様見真似でやってみます。どうやら、あんパンの真ん中の凹み、つまり、へその位置をチェックするようです。

「大体でいいから、真ん中にあればいいから。真ん中からずれているものは外して」

もう一人、へそチェックをしているオバちゃんが、そう教えてくれました。また、へその穴があまりにも深いものもNGだそうですが、機械で開けているので、極端に深いものは、あまり生じないとのこと。

次から次へと流れてくるので必死です。1分間に50個位流れてくるでしょうか。それをオバちゃんと二人で手分けしてチェックするのです。大変です。だけど、単純です。