証券会社の社員を装い、「社債を購入してくれれば高値で買い取る」などと嘘の電話を掛けて大金をだまし取るという手口で詐欺を繰り返していた犯罪グループのリーダー小林宏行容疑者(28)ら2人が、逃亡先の大阪で逮捕されました。小林容疑者は調べに対し、「弁護士が来るまで話さない」と黙秘を続けています。
天才的詐欺師はクソみたいな経営者

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人様の尊いお金で大富豪となった小林くんは、「弁護士の先生が駆けつけるまで、しゃべりません」らしい。さぞかし、優秀な弁護士さんが被害者たちのお金で雇われ、やって来てくれるのだろう。
その証拠に被害総額が半端じゃない。報道によれば「全国で40億円以上に上る」らしい。被害届けが出ていない事件も合わせれば、もっと額面が跳ね上がってしまうだろう。
メディアがいうには、小林くんはその莫大な人様のお金を、自身が経営していた「エステ店の運転資金に回していた」(報道より)、と言っていた。
アナウンサーもよく、噴き出さずにそんな原稿を読み上げれるよな。だって、そうではないか。本当にそのエステ店の運転資金に充てていたというのなら、そのお店、40億円以上のクソ赤字を出していたことになるのだぞ。そうまでして、小林くんはエステにこだわっていたのか。
普通なら、そんなクソ赤字の店なんてさっさと閉めて、悠々自適に暮らしているんじゃないか(人様のお金で)。
当局はすぐに、暴力団の資金源になっていた可能性があるとか、今回のように、あまりにも無理がある理屈でもひっつけて、金の流れをさも追求しているかのように言いたがる体質があるが、言っていいか? 誰もがわかっているんだよ。捜査の行き届かない別の場所で、犯人の隠した大金が静かに眠っていることを。
しかし、これだけ特殊詐欺に注意を呼びかけているというのに、この手の詐欺による被害はいっこうに衰退を見せる気配がない。それも今回のように、まだまだ電話だけで大金をだまくらかすことに成功してしまっている。
実は、私の周囲にも、この手の詐欺電話がかかってきたばかりである。
もしかしたら、詐欺グループも電話番号を間違ったのかな。それとも、下調べをちゃんとしなかったのか。だってそいつの全財産、40も過ぎて、1200円しかなかったのだぞ。
どう転がしてみても、借金しか出てこないようなヤツである。
ヤツは言った。「社債!? 買う買う! 代金!? 振り込む振り込む!」と。1200円しかないクセに。
それなのに、ヤツは電話を一方的に切られてしまった。
「もっと買わせて! えっ! 一億になるのっ! もっと買わせて買わせて!」
どうしようもないヤツである。詐欺師をだまくらかしたいのであれば、少しは"戸惑う"という演技も取り入れろよ。
だが、詐欺の対処法としてはこの手、もしかすると使えなくもないのではないだろうか。
沖田臥竜
兵庫県尼崎市出身。日本最大の暴力団組織二次団体の元最高幹部。前科8犯。21歳から29歳までの8年間服役。その出所後わずか半年で逮捕され、30歳から34歳までまた4年間服役と、通算12年間を獄中で過ごす(うち9年間は独居)。現在、本サイトで小説『死に体』を好評連載中。