>  > 強きを助け、弱きをくじく者、その名は「元暴走族総長で内装工の少年(17)」
元極道の異色作家・沖田臥竜のニュース解説  「プロ」はニュースはこう読む!

強きを助け、弱きをくじく者、その名は「元暴走族総長で内装工の少年(17)」

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東京都北区の公園で、「貸したら壊した靴を弁償しろ。15万円を今日中に払え。払わなかったら死刑な」と高校1年の男子生徒を金属バットで殴り、大けがをさせたなどとして、元暴走族グループの少年ら3人が逮捕されました。傷害と恐喝未遂の疑いで逮捕されたのは、元暴走族総長で内装工の少年(17)ら3人。取り調べに対し、少年らは容疑を認めています。


年下を集団で囲んで恐喝かいな......


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写真はイメージです

 法律で「靴を弁償しなければ死刑!」と決められていたら、一も二もなく、「弁償します! します!」となるだろうが、あいにくそのような法律はない。ていうか、逮捕された少年3人組に、死刑判決を言い渡す資格はそもそもない。

 注目すべきは、その弁償代である。15万円也、というではないか。そもそも、そんな高価な靴を他人に貸したりするか? ましてや、17歳の内装工の少年がそんな高価な靴を持っているのか? さては、私より稼いでおるな。

 実際、死刑を求刑していたクセに、金属バットを振り回し、被害者に暴行を加えたりと、やりたい放題していたようであるのだが、そこはまだ17歳。あどけなさが残っていたようである。逮捕後は、死刑うんぬんの文言も含めて、あっさり容疑を認めてしまっている。

 これが30の坂でも超えててみろ。確実に「死刑にするとは言ってない」なんて往生際の悪さを醸し出したりしてしまう。

 なんだかんだ言っても、まだ更生の余地が充分残されているのではないか。

 今後、鑑別所に送致され、少年院に移送されるかどうか知らんが、そこでしっかりと反省し、仮退院後は、頭を下げて元の職場に戻してもらい、立派な内装工に育っていってもらいたいものである。

 とはいえ、私はこの事件について、さほどの驚きを感じていない。

 やっている事は酷いし、我が子がその被害にあえば、それこそ沖田裁判長が「死刑に処する」という判決を出してしまうかも知れないが、それは別として、いつの時代も表沙汰しないだけで、似たような出来事は、何処にでも転がっている。

 私の少年時代にも、似たようなケースはいくらでもあった。それも、もっと直球勝負が多く、「靴を弁償しろ!」なんて回りくどいことなんて言ってくれない。中学校に卒業した先輩がやってきたと思うと、いつ何時までにン万円用意しろ!なんてことは、日常茶飯事であった。ある意味、その理不尽さでいえば、ヤクザ社会ですら凌ぐのではなかろうか。

 ある日の事である。ちょうど今回の被害者の少年と同じ年頃だったと記憶する。

 私達の地元に、金集めの伝統、率直にいうと後輩から金を巻き上げるシステムを編み出した7つも8つも上の先輩、ジャイアンが、ついに私達の世代にもその毒牙を向けてきたのだった。

 返り討ちにしてやったぜ! ......なんてことは一切なく、好き放題にやられてしまっていた。

 忘れもしないエピソードの一つに、こんなものがある。

 その日、私を見つけたジャイアンは、えらくご立腹であった。当時23、4の大人が15歳の少年に、そんなに怒るかね~というくらいご立腹されていた。

 なんでも昨日、車で事故したらしいのだ。

 それはそれは、大変ですな~と思っていると、なんと大変なのは、ジャイアンではなく私のほうだった。

「おいっ沖田! 昨日ワレなにしとってん!」

 えらくご立腹なジャイアンに私は答えた。

「えっ......家で寝てましたけど」

 私が家で寝ていたこととジャイアンが車で事故したことと、なんの関係があるのだ。

 だが、ジャイアンに言わせると、あるという。

昨日、ワレ探しとって事故してんど! きっちり弁償せいよ!」と頭を小突かれた挙句、素敵な捨て台詞まで吐かれてしまった。

「ワレ後輩やからって、調子のとったらあかんど!」

 調子???

 結局、事故も全てウソであったのだが、きっちり金だけは巻き上げられてしまった。

 そんなジャイアンの変わり身の早さは、すこぶる早かった。

 十数年後、ヤクザの世界に入り、おまけに長期の社会不在を余儀なくされたのち、ようやく地元に戻って来た私に向かい、久々に会ったジャイアンはこうのたまったのだ。

「も~~沖ちゃん! あんまり心配させんとってや!」

 こういうヤツこそが、なにがあっても生き残るのだろうなあ、とつくづく感心させられたのだった。

 ちなみに、最近は街であっても、気付かないフリをされているのだが......なんで???




沖田臥竜
兵庫県尼崎市出身。日本最大の暴力団組織二次団体の元最高幹部。前科8犯。21歳から29歳までの8年間服役。その出所後わずか半年で逮捕され、30歳から34歳までまた4年間服役と、通算12年間を獄中で過ごす(うち9年間は独居)。現在、本サイトで小説『死に体』を好評連載中。