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俳優志願四十代独身の日雇い日記

中年バイト日記 「市販弁当の梅干しはヤバい」

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俳優志望の中年が様々な日雇いバイトを経験。その驚愕の現場をレポートする新シリーズ。今回は家族経営の弁当屋だ!


2月某日(金曜日:晴れ)


今回の案件は弁当の"おかず詰め"作業のバイトです。

きっと、翌日に会合か何かがあって、大量に発注があったのでしょう。おそらく、普段は夫婦や親子など、家族ぐるみで経営しているお弁当屋です。それが大量発注の予約が入ったので、単発のバイトでも入れようということで自分が行きました。

実はよくある案件です。自分はこれまでに100回以上経験しています。理由は簡単です。"まかない"が出るからです。食費を浮かしたいのでありがたいです。しかも、今回は拘束時間8時間で1万円です。なおありがたい。

bento-1.png

弁当の詰め作業の案内が書かれたメール

その日の集合は夜の11時でした。店へ行くと案の定、老夫婦とその息子夫婦の4人に自分が加わるという5人体制です。息子夫婦の妻も急きょ動員されたのでしょう。

「なんで、アタシが......」

とブツブツ言ってます。ぶっちゃけ空気が良くないです。

まず、作業台に弁当箱を並べ、所定の場所に"ばらん"をセットします。緑色のビニールの子供が描いた草むらのようなアレです。驚いたことに400個分です。店も急な発注だったのか、ばらんの用意が無かったのでしょう。最後の方は、1つのばらんを3つに切り分けて対応したほどです。

続いては唐揚げ詰めです。バケツに入った大量の唐揚げをトングで3つずつ拾って詰め込みます。とにかく大量生産ですから一応、揚げた後に油を切ってはいるものの、上のから揚げの油と脂が下に落ち、バケツの底のほうのから揚げのギトギト加減といったら!ですから、ある程度、バケツ唐揚げの量があ減ると、ペーパータオルを丸めてバケツに入れて、油を吸わせるのも自分の仕事でした。

続いては、唐揚げの横に中華風肉団子を置く作業です。揚がってきた肉団子をボウルの中で、あんかけ、白胡麻と一緒に混ぜて1個ずつセットするものですが、ここで登場したのが息子夫婦の嫁です。彼女は何をやっても鈍くさく、仕事から干されてしまったのです。(ですから、実質4人体制です)

で、やることが無いからでしょう。自分の作業にケチをつけてきました。「この肉団子、あんかけの胡麻が少ない」とか......。弁当を食べて胡麻の数を気にする人って、世の中にどれだけいるのでしょうか?そんなババァの声は気にせずに自分の仕事を進めるだけです。

ところで、この弁当詰めにおける作業で、一番、辛いコトって御存知ですか? 実は

『梅干し乗せ』

なのです。そうです、ご飯の上に小粒のカリカリ梅を乗せていく作業です。

基本的に弁当詰めの作業は薄いビニールの手袋を着けて作業します。量、そしてその梅を生産したメーカーによって異なってきますが、基本的に弁当に乗せるような梅は合成着色料で赤く酸っぱくした安物です。また、カリカリにするための薬剤も使われていると思われます。

このカリカリ梅をご飯の上に乗せる作業を、そうですね......150個以上超えたところで驚きます。指先が赤く染まっているのです。つまり、ビニールを通り越して浸透してしまうのです。しかも、指先に切り傷があったら痛いこと、痛いこと......。っていうか、どんな着色料なんだよって話です。

それゆえに、自分は外食産業の漬物を、この20年、食べることができません。

さて、その息子嫁が「アタシにできることないのかしら?」的なことを言っていたので、もちろん

『梅干し乗せ』の刑に処しました。

400個分......「どうしてくれるのよ!」と赤く染まった指先を見て泣きわめくババァを尻目に、朝の7時に全行程が終了しまして。最終チェックをしたら、あれ?弁当が405個、ありますよ?

そうです、まかないは自分が詰めた弁当でした。......だったら、唐揚げを1個多く入れておくべきだったな。あ、でも、あの油を見たら......という葛藤はありましたが、美味しくいただきましたよ、朝の7時に......。




(文=梅田隆策)