>  > 共犯者が複数いる事件のときの警察の定番捜査方法を元極道がレクチャーしてみる
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共犯者が複数いる事件のときの警察の定番捜査方法を元極道がレクチャーしてみる

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千葉県警柏署は1月5日、柏市を流れる手賀川に17歳の会社員の少年を落としたとして、少年の同僚の小島庸平容疑者(22)、渡辺真純容疑者(21)、岡田潤太(20)と19歳の少年らら4人を殺人の疑いで逮捕しました。4人は当初、川に落とした持ち物を捜すために中に入って泳いでいるうちに溺れたと説明していましたが、調べを進めるうちに渡辺容疑者が「少年を別の川で落としたが物足りず、小島容疑者の自宅で風呂に入れてから手賀川に行った」と供述、岡田容疑者と19歳の少年も容疑を認めましたが、小島容疑者は「一緒にいたけど落としていない」と現在も容疑を否認しています。


犯罪者も見た目が9割


okita_news_20160107_03.jpgテレ朝news『少年を川に落とし"殺害"「別の川でも落とした」』より(リンク

 逮捕された4人をテレビでみる限り、一番大人しく見えるのが、瘦せぎすメガネの渡辺でないだろうか。

 複数で逮捕された時、この見た目の与える印象が案外、重要だったりする。

 特に、容疑者が全員否認した場合、一番気弱そうな奴に焦点を当て、自白を引き出そうと当局サイドは迫ることが強い。現に今回の事件でも、自供のトップバッターになったのが渡辺だったようで、後の2人は渡辺の自供を突きつけられて観念したのであろう。

「別の川に落としたが物足りず、主犯格の小島容疑者の自宅に連れて帰り、一度風呂に入れてから、事件となった川に連れていった」などの重要な供述はすべて渡辺の口から出てきたものである。この渡辺の供述をどのような形で残る3人が突きつけられたかは分からないが、小島以外の残る2人は、「財布を川に落とした被害者が、自ら裸になって飛び込んでいった......では通用しないか」と悟ったはずだ。

 これで小島がいくら否認しようとも、渡辺を含め残る2人が罪を自供してしまった以上、3対1の構図が出来あがり、検察もこれなら十分公判を維持していけると判断し、迷わず起訴に踏み込むであろう。

 こんなもの、当局サイドからすれば、赤子の手をひねるようなもんじゃないだろうか。

 そもそも、川に財布を落とすという設定自体、無理がある話で、そこに裸で飛び込んで行った、というのだから、とっさに考えた言い訳だとしても、あまりにもずさん過ぎる。

「そうか、そうか、川に財布を落としてしまい、それを拾うために、裸で川に飛び込んだんだな。だったら、こりゃあ、事故だな~」で千葉県警が処理してくれると本気で思ったのだろうか。

 もしかしたら容疑者たちには、被害者の少年を殺害しようという気持ちまではなかったのかもしれない。

 被害者の少年にしても、まさか自分が命を落とすことになるなんて、小島容疑者の自宅で風呂に入らされた時には考えていなかったのではないか。身の危険は感じていたかも知れないが、命まで落とすことになるとは、想像していなかったのではないか、と思う。

 流れでそうなったかも知れないが、結果として被害者の少年が命を落としてしまったことに変わりない。そこのところを小島にもよく説いてやって、真の償いをさせるのも、警察の役目ではないだろうか。

 ただ刑務所に長期間放り込めば良い、というわけでもない。また、刑務所に行ったくらいで罪が消えるというものでもない。現に私は、全く反省していない受刑者を何10人とこの目で見てきているし、話だって聞いてきた。

 人の命が絡んでいなければ、それでも良いかもしれない。だが、一人の若者の人命が奪われているのである。罪を認め、過ちを悔い、その上で自分はどう償っていくことができるのかを考える──それが、せめてもの供養というものだ。

 ところで一つ、大変に気になることがある。今回の事件の発端となった"金銭トラブル"とかいうヤツである。

 被害者となった17歳の少年について、地元の友人は「2015年の夏頃、すごくお金持ってて。なんか無駄にブランド物とか買い込んでて」なとと話しているという。また少年と小島容疑者とのあいだには「数百万円の金銭トラブルがあった(友人談)」ともいう。会社員といえども17歳の子供が、なぜそんなに羽振りよく振る舞えたのか、そして22歳の小島容疑者が数百万円もの大金を動かしていたのか......。小島たちからは他の犯罪の匂いがプンプするように思えるのだが、それはヤクザだった私の、ただの勘繰りに過ぎないのだろうか。




沖田臥竜
兵庫県尼崎市出身。日本最大の暴力団組織二次団体の元最高幹部。前科8犯。21歳から29歳までの8年間服役。その出所後わずか半年で逮捕され、30歳から34歳までまた4年間服役と、通算12年間を獄中で過ごす(うち9年間は独居)。現在、本サイトで小説『死に体』を好評連載中。