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元極道の異色作家・沖田臥竜のニュース解説  「プロ」はニュースはこう読む!

救急車のエンジントラブルを起こした札幌市の消防局に元極道が同情

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札幌市消防局は昨年末の29日、最寄りの出張所の救急車がエンジントラブルで出動できず、別の隊を出動させましたが本来より到着が約25分遅れた、と発表しました。なお患者は搬送先の病院で死亡が確認されました。札幌市消防局は「搬送の遅れと死亡との因果関係は不明」としています。


そういうこともありますよ


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写真はイメージです

 なぜ、常時、車のエンジンがかかるのか点検していなかったのだ......と言うのは、簡単である。だが、まさかのトラブルに対して、そこまで吊るしあげるのは、少々、酷な気がしないでもない。

 救急隊員はプロである。また、プロでなくてはならない。救急車がエンジントラブルにより出動できず、それで生まれたタイムラグのために亡くなった可能性を否定できない限り、言い訳はできないだろう。亡くなられた遺族の方々だって黙っていないかもしれない。というか私がその立場なら黙っていないと思う。

 だけど、客観的にみた場合は、どうだろうか。

 防ぎようのないトラブルだったとしたら、携わった救急隊員達には、不運といった面もあるのではないだろうか。だからといって、それで世間は納得してくれないだろうが......。

 私も昔、ほんの数年しか娑婆にいなかった20代の頃、このようなトラブルに見舞われたことがある。

 その日は朝からの冷え込みが厳しく、関西では珍しく雪まで積もっていたのだが、まさか車のエンジンがかからないなんてことがおこるとは考えておらず、定刻通り、当時の親方を迎えに行くために車を出そうとエンジンをかけようとした。

 だが、エンジンが、うんともすんとも言ってくれないのだ。何度やってもエンジンはかからない。車外に出て、車を蹴飛ばしてみても、もちろん反応してくれない。

 これには焦った。ヤクザというのは、給料などくれないクセに、時間厳守は一般の会社なんかとは比べものにならないほど、厳しいのである。

 そうこうしているウチに、携帯電話が鳴った。当時の親方からである。

「おはようさん、今どのへんや?」

私はこたえた。「おはようございます。今、ちょうど国道のコンビニ過ぎた所なんで、後10分ほどで着く思いますわ」

 今思えば、正直に言えばよかったのだが、口からスルスルとウソが滑り出してしまうので仕方ない。

 10分後、また電話が鳴る。

「着いたか?」

「はいっ!着きました!」

 もちろん、家から一歩たりとも進んではいない。またもや、口からの出まかせのでまかせである。

「ほなら降りるわ」

 で、電話を切られた。

 数分後から始まった鬼電に、ついに事実を白状した時には、こっぴどく叱りつけられたのは言うまでもない。

 若き頃の至り?のエピソードではあるのだが、エンジンがかからない、というのは、場合によっては恐怖を覚える、ということを知った出来事であった。




沖田臥竜
兵庫県尼崎市出身。日本最大の暴力団組織二次団体の元最高幹部。前科8犯。21歳から29歳までの8年間服役。その出所後わずか半年で逮捕され、30歳から34歳までまた4年間服役と、通算12年間を獄中で過ごす(うち9年間は独居)。現在、本サイトで小説『死に体』を好評連載中。