東京都大田区で交際相手の連れ子だった3歳の男の子殺した事件で、警視庁は逮捕された暴力団組員の永富直也容疑者(20)が「しつけ」と称して男の子を日常的に殴ったり、「かかと落とし」で蹴ったりしていたことが新たにわかりました。たまらず母親が止めようとしたところ、包丁を見せて脅して黙らせ、さらに男の子への暴力をエスカレートさせたとのことです。男の子は38度以上の熱が出した状態で嘔吐や失禁をし、「苦しい」と母親に助けを求めましたが、27日未明、亡くなりました。
もう死刑でいいよ

写真はイメージです
日本の全国民が怒りを露わにしているこの事件に、あえて触れてみたいと思う。
なぜならば、私自身が3歳の娘を持つ父親だからである。
永富に対して全国民が胸くそ悪く思い、憤りを覚えているのはなぜか。それは、いくら自分の子供じゃないとしても、3歳の男の子に強圧的な「しつけ」など必要であるかどうかすらわからないのか、と怒っているのだ。
睨み返したくらいで、殴る蹴るの暴行をくわえて良いと思っていたのか。
そりゃ睨むであろうし、母親に対しても、こんなろくでもない人間を連れ込みやがって!と恨んでいるであろう。当たり前ではないか。
それから、母親だっておかしい。
仮にだ、絶対にない話なのだが、私が家の3歳の娘を傷つけるようなことを、もしもしたとしたらどうなるか。彼女にとって母である私の嫁は、確実に私にだって立ち向かってくるだろう。また、そうじゃなくてはいけない。それが幼子を抱える母親の本来あるべき姿である。
そこが、今回の事件の男の子の母親には、まったくもって欠落している。
本来ならば、半狂乱になって取り乱していてもおかしくない状況にあるにもかかわらず、当時を振り返り「ボーリングをするように投げ飛ばしていた......」などと、いけしゃあしゃあと永富の暴行について供述しているそうではないか。
人として、大丈夫であろうか。我が子のことだぞ。確実に大丈夫ではないだろうな。
3年という短い生涯に、恐怖を刻みつけさせ、閉じさせたのは他でもない。実の母親と転がりこんできた永富の2人である。
親の自覚がまったくなかったとしかいいようがない。
私は、永富がヤクザであったか、どうかなんてまったくもって関係ないと思っている。
世間ではそこに重きを置いて、この事件が解釈されている部分もあるかもしれないが、実際、男の子が亡くなっているのだぞ。そんなことどうでもいいじゃないか。ただ親として、いや、ただ人間としての自覚が2人には皆無であったのだろう、といいたいのだ。
たった3歳の男の子に、身長195センチ、体重120キロの大男が包丁を見せて凄んだり、死んでしまえ!などという暴言を浴びせた挙句、大の大人でも耐えられないような暴行を大柄のくわえているのだぞ。
法解釈としては、傷害致死罪か? 冗談じゃない。立派な殺人事件じゃないか。
3歳の男の子からすれば、大柄なデクの坊のかかと落としは、死に至らしめるに十分過ぎるほどの破壊力であることを捜査当局には重視してもらいたい。
死ぬと分かっていてくわえる暴力は、殺人ではないのか。捜査当局にはそこをもう少し見直して欲しい。
そして永富がどのような男であったかは知らんし、また知りたくもないが、見当違いなデクの坊だったとしてもだ。我が子を守ってやらなければいけないのは、母親ではないか。
母親も立派過ぎる同罪と私は思う。
2人には、現行のどのような刑罰を持ってしても、罪を消し去ることはできないだろう。たとえ、極刑となったとしても、この罪は2人の命で消せはしないんじゃないか。
せめて、男の子が安らかな眠りにつかれることを、世間の片隅から祈らせていただきたい。合掌
沖田臥竜
兵庫県尼崎市出身。日本最大の暴力団組織二次団体の元最高幹部。前科8犯。21歳から29歳までの8年間服役。その出所後わずか半年で逮捕され、30歳から34歳までまた4年間服役と、通算12年間を獄中で過ごす(うち9年間は独居)。現在、本サイトで小説『死に体』を好評連載中。