来年の巨大テーマパークの覇権争いが熱い
大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)といえば、今や飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進を続けているテーマパークだ。2015年3月の決算期では過去最高益をたたき出したその同パークが、2016年1月15日~6月26日、「ユニバーサル・クールジャパン 2016」を開催する。
このイベントにおいて、世界初のアトラクションである"XRライド"が導入されることが先月30日、判明。XRライドはUSJが独自開発したもので、視覚と聴覚で別世界へ連れて行くVR(バーチャル・リアリティ)をさらに進化させ、眼前に広がる世界と、ライドの重力感覚といったテーマパークならではの刺激をシンクロ。360度見渡す限りの別世界で、巨大なものと遭遇したり、200mの高さから垂直落下するといったありえない体験を体感できる。
そのXRライド第1弾として、「きゃりーぱみゅぱみゅ XRライド」の導入が決定。360度どこを向いてもきゃりーぱみゅぱみゅの世界の中を、中田ヤスタカ氏が書き下ろしたアップテンポソングにのせてXRライドで大疾走するアミューズメントだ。体を駆け抜ける疾走感と重力感を六感を駆使して味わえることができるようで、本人も「今いえるのはかなりメルヘンで可愛いらしいけど、結構怖いアトラクションになるとお院のいますよ。いひひ」とツイートしている。
それに比べ、最近は東京ディズニーリゾートのウキウキするような話題を全く聞かなくなってしまった。
そもそも、対象としているテーマの違いがあることは分かる。TDLは夢の国であり、小さなお子さんや高齢者まで楽しめるように企画されている。それに比べUSJは、若い世代であっても健康に問題がある人は乗れないんじゃないか...と思えるような激しいアトラクションが満載だ。
今の日本は少子高齢化であり、子供の数も極端に少なくなってきている。このまま夢の国のおとぎ話だけで客の心をつかんでいくには、絶対数自体が足りなくなるかもしれない。
比べてUSJは全く逆だ。アトラクションも激しさを増しており、しかもただ激しいだけではなく、最新技術を駆使して人間の第六感を刺激することによって来場者の心をつかんでいる。また高齢者であっても、かつてのTDLがそうだったように今「一度は行っておきたい」と話すのはUSJだ。
正直言えば"なんでこんな時期に?"と思えるようなハリーポッター系のアトラクションの登場だったが、来年の巨大テーマパーク覇権争いに先手を打ったとみたら面白い。
さらにUSJは「ユニバーサル・クールジャパン2016」特命大使にXRライドのきゃりーを任命することも決定。きゃりーぱみゅぱみゅは「ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのスケール、クオリティで日本を代表する5大エンターテインメントの世界が現実となるのがとても楽しみ。特命大使として、このイベントを世界に向けて発信していきたい」と意気込んでいる。
世界にはばたいているきゃりーぱみゅぱみゅの力強い後押しを受け、このままUSJは一気にTDLを撃墜していくのだろうか。あるいは、TDLの巻き返しがみられるのだろうか。来年のバトルが非常に楽しみである。
(文=生類憐みの令)