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ヘイトスピーチハンター・憂国我道会山口祐二郎のひとりごと

在特会に続きハトに餌やりしている人とも対決してみた!

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皆さんは駅前の休憩所や公園などでハトに餌をあげている人を見たことがないだろうか? 僕は数多く目撃してきたし、実際に自分がやってきた。昔は、餌をあげて群がるハトを見て喜ぶ子供も多かった。しかし、そんな光景は最近では珍しくなってしまい、ほとんど見ない。なぜなら、至る場所にハトに餌やり禁止の看板が掲げられるようになったからだ。けれども、そんな風当たりの強い現在でも、ハトに餌をやり続けている人たちはいるのだ。(山口祐二郎)


謎の女性


 東京都足立区北千住駅前すぐの大手デパート、マルイ前広場に1人の女性が現れた。

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写真はイメージです

 年齢は50代程だろうか。容姿はお世辞にも気を使っているとは言えない。髪の毛は白髪だらけのボサボサ。服装は茶色いセーター、灰色のジャージのズボンでボロボロだ。ぱっと見、ホームレスとも思える身なりだ。丁度、お昼時で人だかりの多い時間帯である。明らかにその女性の存在は街で浮いていた。

 女性は広場にある椅子に座り、大きな布製の手提げバッグに腕を突っ込む。次の瞬間、謎の黄色い粉をばら撒き出した。椅子に座っていた人や近くにいた通行は驚愕し一目散に女性から離れる。

 一斉にハトが群がってきた。女性が見えなくなる程の大量のハトで、凄い羽根音に包まれる。どうやら、黄色い粉は小麦やとうもろこしなどを混ぜた市販のハトの餌みたいだ。

 時間にして5分程、女性は狂ったようにとんでもない量のハトの餌を撒き続けた。そんな異様な一部始終を見て、僕はその女性に興味を持たざるを得なかった。


なぜ女性はハトに餌をあげるのか?


 さっそくインタビューをするため、その女性に話しかけてみた。

――こんにちは。山口と言います。どうしてハトに餌やり禁止の場所で餌やりをしているのですか?

女性 うるさいよ馬鹿! やかましい!

――馬鹿じゃないだろ! ......いや、あの否定をしているんじゃなくて、単純に理由を聞きたいんです。

女性 同じ生き物だろ! 私の家族だよ、この子たち(ハト)は!

――注意されたり、迷惑がられたりしませんか?

女性 警察もそうだし、迷惑がる奴はいるよ! じゃあお前は飯を食わないのかって言ってやるんだ! 兄ちゃんはどうなんだ!

――食べるに決まってんだろ!

女性 そうだろ! ゴミも出るだろ! 糞もする! 地球を汚しているのは、この子たち(ハト)よりも人間のほうなんだよ!

 僕は女性の話を聞き、妙に納得してしまった。誰かに迷惑かどうかよりは、女性は違う価値観で餌やりをしていたのだ。話が終わっても、まだ女性の周囲ではお腹一杯になったハトが幸せそうにちょこちょことうろついていた。


餌やりは法律で禁止なのか?


 ハトの餌やりはどうして駄目なのか。調べてみると、ハトの餌やりは法律では禁止されていない。つまり、単純に協力のお願いというスタンスで餌やり禁止の看板は掲げられているのだ。

 大体の看板に書かれている理由は、餌をあげるとハトが増えるということと、ハトの糞が迷惑だということだ。ハトの糞には人間が感染症を起こす危険な菌があるらしい。


ハトに餌をあげているのはどんな人?


 北千住駅前では、なぜハトに餌やり禁止の場所で餌やりをするのかを聞いた。今度はどんな経歴の人がハトに餌やりをしているのかを僕は知りたくなった。

 僕は東京都台東区上野公園まで赴き、ハトに餌やり禁止の看板があるのにも関わらず、大量のハトに餌やりをしている男性に声をかけた。

 年齢は60代くらいだろうか。黒色のハット、黒のフリース、カーキ色のズボン。北千住駅前にいた女性とは違い、とても清潔感がありオシャレな紳士だ。上手く公園の隅っこで、周囲に迷惑がかからないように餌をあげている。祭日の昼間なので、公園に来ている子供たちが楽しそうに眺めている。

――こんにちは。お聞きしたいのですが、どうしてハトに餌やり禁止の場所で餌やりをしているのですか?

男性 こんにちは。すいませんね。迷惑にならないよう餌をあげています。これぐらいしか楽しみがなくて。

――いえいえ、全然構いません。僕は理由を知りたいだけなんです。

男性 歳取るとね。動物が可愛くなるんですよね。家族もいないし、寂しいんですよ。

――もしよろしければですけど、経歴を教えて頂けませんか?

男性 そんな語る程の者じゃないけどですよ。普通に大学を出て、サラリーマンで長く務めていました。結婚もしていました。でも、忙しくてあまり家族に構ってあげられなかったんです。結局、離婚しましてね。もうすぐ定年ですが、寂しいですよ。別れた妻にも息子にも会えていません。だから、こうしてハトに餌をあげるのが楽しみなんです。

 こういう人もいるのか。ペットではないけれど、この男性の生き甲斐にハトはなっているのだ。何となく自宅で飼えば良いじゃんと思ってしまったが、仕事が忙しいと世話をするのが難しいのだろう。


ハトに餌をあげるのは善か悪か?


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写真はイメージです

 インタビューして分かったのは、ハトに餌やり禁止の場所で、餌やりをする人の考え方だ。ハトは可愛いし、街にいて欲しい。お腹が減っていれば、餌もあげたくなる。家族のようなものだ。そういう想いが話を聞いていて、ひしひしと伝わってきた。

 けれども、そうじゃない方々もいる。駅前や公園がハトの糞だらけだと嫌だろう。ましてや自分の持ち物の建物や土地を汚されたら最悪だ。僕だってハトは好きだが、それとこれとは話が別だ。

 街を歩いていて、ハトに糞をかけられたことも沢山ある。キメキメの服に糞をかけられてハトが憎くて仕方がなくなった。怒りからハトを丸焼にして食べようと思ったこともある。悔しくてハトの糞をなめてしまったことさえある

 ハトに餌やり禁止の場所で、ハトに餌やり問題は、各々の善悪が複雑に入り組んだ難しい問題なのだ。


最後に解決策は?


 このままで良いのだろうか。単純に僕はそう思う。もっともっと上手くできるのではないか。

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写真はイメージです

 この問題を知り、まだ日の短い僕の浅はかな意見かもしれないが、例えばハトに餌やりできる場所を限定的に沢山作るとかもあるだろう。糞の掃除業者に自治体で仕事がない人を紹介して高給で雇うとかもできるだろう。餌やりでどれぐらいハトが増えているのかは分からないが、増えているのならばハトを食用にするのも手だろう。ハトを食べる国も結構あるらしい。

 かつてハトは、伝書ハトをはじめ、薬品の輸送ハト、カメラを付けて偵察ハトなどとして活躍してきた歴史もある。最近ではハトレースなども静かなブームになっている。

 ハトで人々が揉めてほしくはない。なぜなら、古代からハトは平和の象徴といわれてきた鳥だからだ。


(取材・文=山口祐二郎)


山口祐二郎
1985年、群馬県生まれ。歌舞伎町ホストなどを経て、新右翼「統一戦線義勇軍」幹部に。2007年に防衛省襲撃事件、2012年に東電会長宅前断食断水ハンストを起こし脱退。現在は、「全日本憂国者連合会議」議長、「憂国我道会」会長。作家・活動家として活躍。 著書に『ハイリスク・ノーリターン』(第三書館)、『奴らを通すな!』(ころから)がある。
山口祐二郎公式ツイッター https://twitter.com/yamaguchiyujiro