「警察に追いかけられ、ヤーさんに匿われたことがある」

──今回引退される黒石選手は役者という道を見つけ、本当に良い更生の道を歩んでいると思います。このように生き方が変わってくるという意味で、前田さんも若い頃の自分がフラッシュバックするのではと思うのですが......。
前田日明(以下、前田) いやぁ、もう、わかんないんですよね。あの頃、新日本プロレスに入っていなかったらどうなっていたのかっていうのが、ずっと自分の中にあるんです。あの頃の自分は「マグロ漁船に乗って、お金稼いで......」と色々考えてましたけど、実際どこまでできるかっていったらクエスチョンマークじゃないですか? で、当時の俺って保護観で4年ついてたんです。
──4年は、長いですね(笑)。
前田 新日本に入った時、大阪市警とか色んなところから連絡があったんですけど、その辺は新間(寿)さんがうまくやってくれたみたいで。
──そういう若い頃のご自身もよぎり、「救ってあげたい」という思いがあるのでしょうか?

前田 まぁプロになるならないは別ですけど、格闘技をやって負けたら「勝ちたい」となるし、勝つためには努力しなければならない。勝ったとしてもドロドロの判定で、自分が手を上げられても周りから「相手の方が強かったよ」「大したことなかったな」と言われたら、次こそちゃんと勝ちたくなる。一度勝っても「おまえよりメインイベントに出てる奴の方が凄かったよ」と言われたら、メインイベンターになりたくなる。いずれにしても、努力が必要じゃないですか。「努力する」ってことが大事なんですね。人生は、必要な時に必要な努力をするってことが一番大事なんで。
──前田さんも少年時代は道を踏み外すかどうかで危ない瞬間があったそうで、一度、あまりにストリートファイトをし過ぎてノックアウト強盗と間違われたという......。
前田 間違われた! 間違われて、パトカー20台くらいに追っかけられて、たまたま西成の路地沿いを逃げ回ってたら横からパッと手を引かれて連れ込まれ、それがヤーさんの家だったんですよ。
──(笑)。
前田 その人が、匿ってくれたの。
──もしそのままお世話になってたら、ズルズルとそのまま......ということも有り得ますよね。
前田 ありますよね、あるある。