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キツネ目の男・宮崎学が予言「山口組の分裂騒動の行方はこっちだ!」

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11月15日に開催された映画『ヤクザと憲法』先行試写会&トークより


8月の後半から急展開した山口組の分裂騒動から2ヶ月あまり。大規模抗争には至っていないが、10月の射殺事件に続いて、11月には直参の惨殺事件も起こるなど、予断を許さない状況が続いている。作家の宮崎学さんにこの間の動向について聞いてみた。


山口組は「大きくなりすぎた」


──10月の射殺事件(長野・飯田)に続き、11月には三重県で六代目山口組の直参が惨殺される事件が起こりました。山口組はまだまだ混乱しているようです。

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宮崎さんの新刊は佐藤優さんとの共著『平和なき時代の世界地図 戦争と革命と暴力』祥伝社

宮崎 三重の殺人が分裂と関係あるかどうかはまだわかっていません。発生直後から情報が錯綜し、ネット上でもさまざまな憶測が飛び交っていますが、ほとんどは事実無根のようです。こういう時には新たな対立も起こりやすいので、むしろそちらが問題だと思います。

──今回の分裂は、どのように見ておられますか?

宮崎 まず、いい悪いは別にして、山口組は、ヤクザ組織としては大きくなりすぎました。山口組は今年で設立100周年を迎えましたが、初代山口春吉組長による山口組は50名ほどの沖仲仕(港湾労働者の古い呼び名)の組であったといわれています。

 しかし、現在は構成員1万人以上、準構成員や、いわゆる周辺者を含めたら4万人にも上ります。
「ヤクザとは哀愁の共同体だ」と評したのは、三代目山口組の突撃部隊で"殺しの軍団"と呼ばれた柳川組二代目の谷川康太郎組長(故人)でした。この谷川組長の言葉どおり、かつてのヤクザ組織とは、家庭に恵まれず、貧困に苦しみながら幼少期を送った者たちが肩を寄せ合う疑似家族的な性格を持っていましたが、組織が大きくなると、そうした機能は薄れていきます。

 私の知り合いのヤクザが、「今どき、枝(下部組織)の若い者の顔と名前が一致する親分がどれだけいますかね。どんなに多くても300人が限界。1000人なんて、もうファミリーとは呼べません。だから、警察もヤクザを企業と同様に考えて、親分に対して『使用者』なんて概念を使ってくるんです」と言っていましたが、一理あると思います。

──なぜ山口組はここまで大きくなることができたのでしょうか?
 
宮崎 まずは、カネの力と言われています。80年代の不動産バブル期の前後から「経済ヤクザ」が台頭し、「多額の金を動かせるヤクザ=強いヤクザ」となっていきました。もちろん昔から大物ヤクザはカネを動かす力を持っていましたが、バブルは別格だったわけです。

──山口組には「経済ヤクザ」と言われる親分も多いですね。

宮崎 もちろんカネの問題は小さくはないのですが、私はむしろ警察の影響が大きいと考えています。ヤクザは今までも、これからも、警察や権力の影響をストレートに受ける存在だからです。

 戦後のヤクザはGHQによる取り締まりに始まり、60年代の頂上作戦、90年代の暴対法、昨今の暴排条例と、ずっと権力に押さえつけられてきました。追い込まれれば反発し、何とかして勢力を拡大しようとするのは当然でしょう。

 しかし、大きくなってしまうと、今度は組織の維持が最も重要な目的になってしまいます。

 守りに入ってしまうと、いろいろと軋轢も生じるでしょうから、今回の分裂は、その過程で起きたものではないかと考えています。


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