>  > 借金のイライラで電車を止めた無職男ならヤクザが叱っても見逃してやってはどうか
元極道の異色作家・沖田臥竜のニュース解説  「プロ」はニュースはこう読む!

借金のイライラで電車を止めた無職男ならヤクザが叱っても見逃してやってはどうか

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大阪府警枚方署は15日、踏切内に自転車を置いて電車と衝突させた枚方市枚方元町の無職、米田孝行容疑者(49)を電汽車往来危険と威力業務妨害容疑で逮捕しました。米田容疑者は「飲み屋の借金のことでイライラしていて、すっきりすると思ってやった」と容疑を認めています。なお大阪府枚方市内の京阪本線では先月11日以降、踏切で放置された自転車と電車が衝突する事件が3件発生しており、同署が関連を調べています。


こうなったら飲み屋のママは米田から一銭も回収できないだろうな


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wikipedia京阪本線より引用(リンク

 無職の男が毎日のように酒場で杯を傾けていれば、その酒代は自然、ツケになってしまう。それが嫌ならば、呑まなければいいだけのことだ。

 それをイライラしてしまったらしく、この米田という男は、線路に自転車を仕込んで、スッキリしようと企んだようである。

 いくら自転車を線路に置こうが、飲み屋のツケを詰めない(支払わない)限り、スッキリしないと思われるのだが......。

 よしんば、仮に電車の通行を妨げてスッキリできたとする。だが、飲み屋のツケがまた溜まってきたら、またイライラしてしまうのではないか。

 そうすると、永遠に線路に自転車を置き続けなくてはならなくなるぞ。

 ツケを思い出してイライラ。で、自転車を置きスッキリ。またツケを思い出しイライラ。で、自転車を置き......とエンドレスに続く。

 だけど、と私は思ってしまうのだ。これが90年代以前であれば、飲み屋にツケを溜めた米田は、イライラよりビクビクさせられていたんじゃないか、と。

 というのも、暴対法施行(1991年)以前は、飲み屋のツケの回収なんかは、まだシノギにありつけない若いヤクザにうってつけの飯の種だった。馴染みとなった飲み屋のママからは、よくこういった回収が回ってきていたのだ。

 取り決めとしては、回収してきた飲み代は、大概が店側と折半。時折、行き過ぎた回収方法を使ってしまい、恐喝に変身してしまうこともなくはなかったのだが、だからと言って、それは本人だけの話で、依頼した店側まで処罰の対象になることは、まずなかった。

 それが、暴対法が施行され、さらに、暴力団排除条例まで登場し、ヤクザは食い扶持を締め付けられた。それはもう息もできないほどに......。

 とくに暴力団排除条例では、依頼した店側も処罰の対象にあげたことから、ヤクザにツケの回収を気軽に依頼する飲み屋は消え失せてしまったのである。

 それで良い面も生み出したのかもしれない。お上の考えることだ。良い面もあるのだろう。だけど、その影響で米田のように厚かましくも、イライラするバカを生んだのも事実ではないか。

 先人は言ってるではないか。毒を以て毒を制する、と。

 ヤクザに飲み屋のツケの回収に来られていれば、米田はイライラすることも、線路に自転車を置きに行くことも、それによって無関係な人たちが交通の足留めを受けることもなかったのではないか。

 これもまた暴力団排除条例が生み出した歪みである──というのは、元極道だった私の身びいき(?)な感想なのだろうか。




沖田臥竜
兵庫県尼崎市出身。日本最大の暴力団組織二次団体の元最高幹部。前科8犯。21歳から29歳までの8年間服役。その出所後わずか半年で逮捕され、30歳から34歳までまた4年間服役と、通算12年間を獄中で過ごす(うち9年間は独居)。現在、本サイトで小説『死に体』を好評連載中。