>  > 山口組実録シリーズ 「菱の血判」その⑲ ~シャバの6年、刑務所の6年~
日本の裏社会で今、なにが起ころうとしているのか?

山口組実録シリーズ 「菱の血判」その⑲ ~シャバの6年、刑務所の6年~

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 創立100周年目の山口組に起きた「別れ」という離脱分裂劇。マスコミ等では分裂理由を、主に会費の高騰、と紹介しているが、血で血を洗いながら100年間も続いた組織の分裂理由はそんな単純なものではない。
「11年前に戻っただけや」
 分裂理由の真相を知る幹部たちは残念顔でこう言った。山口組は11年前から神戸一派と名古屋一派との間で確執が生じていた。脈々と沸々と続いていたものがこの度遂に分裂というかたちで表面化したのである。六代目山口組の分裂劇とは一体何なのか? 山口組に詳しい藤原良氏に解説してもらった。


代替わりがひとつの転機に


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2011年に司忍六代目が出所し、2014年からは高山清司若頭が収監されている府中刑務所

 六代目山口組の内部では様々な憶測と情報が飛び交っている。前回(リンク)取り上げた若頭の獄中襲名もそうだし、サプライズで三代目弘道会会長が山口組七代目を襲名するのでは?といった言葉まで飛び交っている。

 仮に、三代目弘道会会長が七代目に就いた場合、直系組長たちと盃直しが行われるわけだが、三代目弘道会会長から盃をもらう直系組長は何人いるのだろうか?

 現在の六代目山口組に残留している組の中には、過去の借金により縛りつけられている人もいる。六代目や刑務所に服役中の若頭から数億円もの借金をしてしまい、そのせいで、本人の主義や信念とは別に、借金返済への責任感から六代目山口組に残留せざるをえない組員も多い。それは、分からない話でもない。

 ところが、三代目弘道会会長から借金をしている組員は今のところそれほどはいない。そんな中、三代目弘道会会長が山口組七代目を襲名したら、神戸側に移籍とまではいかなくても、ただたんに山口組を去る組員も続出する可能性が高い。七代目誕生にともなって、現六代目や現若頭から「よろしく頼むよ」と後見を意味する言葉が発せられたとしても、借金と盃は、言うまでもなくそもそも別次元のものである。「借金を帳消しにするから七代目を応援してやってくれ」と言われたとしても、別に、七代目から子分の盃をもらう必要も義務もない。応援は別のやり方でもできるからである。

 金銭関係で懇意にする事はあっても、盃までも金銭関係通りになることはない。もしも現実に、そのような事態に直面したときは、ひとりひとりが今一度、任侠道に立ち返り、盃の意味というものを考え直す必要があるだろう。六代目山口組の分裂騒動は山口組全組員だけにとどまらず、日本中のすべてのヤクザ・暴力団員に大きな問題提起をしたことは言うまでもない。
 
 六代目山口組内で、「七代目は」とか「八代目は」なんて言葉が飛び交っている事自体、求心力の低下をあらわしている。この言葉が繰り返し組内で飛び交えば飛び交うほど、現六代目の権威を貶めるだけでなく、人望も人心掌握力も低下していることを意味しているといえるのではないか。